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「空の日特別寄稿」全員が一丸となって安全を確保
東京国際空港長 松岡 慎治
「多摩川河口で海に接する地を『ハネ』という。」「海老取川を境に2分された形は鳥が羽を広げたよう見える。」「低湿・粘土地を指す「埴田(はにだ)」に由来する。」と、諸説ありますが、東京国際空港は羽田空港と呼ばれます。多摩川と海老取川、そして東京湾に囲まれた羽田の地に生まれた羽田空港は、開場時は53万㎡、現在の約30分の1の大きさでした。初の国営民間航空専用飛行場として設置された1931年から数えて今年は93年目、連合国軍に接収されたハネダ・エア・ベースが日本に返還され東京国際空港となってから72年目の年にあたり、国際空港として成長を続けています。
日本に返還された羽田空港からは、1954年2月2日、戦後国内航空会社として初めて日本航空が国際線定期便運航を開始(羽田~ウェーキ島での給油寄港を経てホノルル~サンフランシスコ線に就航)しました。初便の担当機は、プロペラ機、DC-6B「JA6201」。36席すべてがファーストクラス(デラックスクラス)の構成で、21人が搭乗。運賃は現代の貨幣価値にすれば、片道600万円だったそうです。
現在、24か国・地域 46都市 1日最大158便のネットワークをもって世界とつながる羽田空港ですが、いまも成長を続けています。コロナによる国際線減便を受けて閉鎖していたT2i(第2ターミナル国際線施設)が昨年7月に再開、第2ターミナルを利用する国際線の数が拡大しています。第1及び第2ターミナルともに北側へ延伸拡大する工事が進んでいます(第2ターミナルのほうが第1ターミナルよりも竣工時期が早い)。
鉄道は、京浜急行羽田空港線が第1・第2ターミナル駅の引き上げ線整備、東京モノレールは第1ターミナル耐震補強と浜松町駅エリアの整備、JR東日本アクセス線工事も進んでおり、東京駅から所要時間も大幅に短縮される予定です。さらには、東急沿線方面から羽田空港へのアクセス向上を図るため、新空港線(蒲蒲線)の整備についても関係者合意の上準備が進んでいます。
飛行経路については、2020年3月から新経路の運用を開始し、地域の皆様に羽田空港の機能強化についてご理解とご支援をいただきながら、安全な運用を確保する努力を続けています。
常に成長する羽田空港ですが、今年の1月2日に滑走路で航空機が衝突する事故が起きました。この事故を受けて、2度と悲劇を起こしてはならないとの思いから、羽田空港の関係者全員が一丸となって、安全な空港を作ろうと奮闘しています。
羽田空港の今年の空の日は9月28日。空港の見学や体験できるツアー、空港で働くスタッフが用意した、夢のある楽しいイベントがここ羽田の地において繰り広げられます。
昨年と同様に、国際線ターミナルと直結する羽田エアポートガーデンの施設を利用して「合同企業説明会」を同時開催します。参加企業毎にブースを設置し会社概要や業務内容等を説明します。羽田空港関係者全員で空の日のご来場をお待ちしています。
※写真1=羽田空港の松岡慎治東京国際空港長
※写真2=第2ターミナル延伸工事の様子