ウイングトラベル
★旅工房、25年6月期を「販売拡大期」に位置づけ
海外個人旅行回復へ売上34億円、損失を圧縮
昨年10月にアドベンチャー傘下に入った旅工房は、2024年6月期決算を経て、今後の事業計画を発表した。通期決算を3月期から6月期に変更した最初の決算(15カ月)は、売上高が前期の12億円から33億円に回復し、経常損失も8億円から3億円に圧縮した。これを受けて、2025年6月期を「販売拡大期」と位置づけ、取扱いエリアの拡大、オンライン決済商品の拡充、広告宣伝費の積極的投下、人員の増加の成長戦略を進める計画を示した。これにより、25年6月期(12カ月)業績見通しは、売上高を34億円に上げ、最終損失を2億円に圧縮する見通しだ。
同社の旅行事業は、個人、法人、インバウンドの3分野で、個人旅行事業は国内の個人客に対して、海外旅行を中心にパッケージ旅行の企画・販売、航空券、ホテル宿泊等の旅行商品を販売。法人旅行事業は国内の企業、官公庁、学校法人等に国内・海外への出張等の業務渡航の手配や団体旅行を手配、インバウンド旅行事業は海外の企業や団体等に業務渡航や団体旅行の手配を行っている。
2020年3月期の売上高の333億円のうち主力は個人旅行事業で、それがコロナ禍の影響で激減し、21年3月期には売上高9億円まで下がった。その後、売上高は22年3月期10億円、23年3月期12億円、そして決算期が変わった24年6月期に33億円まで回復した。ただ、ピーク時の20年3月期の10%の回復水準にとどまっている。
そうした中で、同社は24年6月期中に正社員、アルバイト等を26人採用、25年4月入社予定の新卒採用の活動も開始した。また、24年6月期の広告宣伝費は前年同期比138%増の9000万円に増やした。
一方で、新株予約権による資金調達を継続し、債務超過の解消、負債の返済などによる財務の健全化を図った。23年3月期末までの資金調達額は約10億円。97700万円、23年4月に2億円を資金調達した。アドベンチャーから出資30億円を受け、債務超過を解消、借入金約18億を返済した。
アドベンチャー出資で債務超過解消、上場維持
親会社と事業を棲み分け、自律的な組織運営
2025年6月期は前述の通り「販売拡大期」と位置づけ、取扱いエリアの拡大、オンライン決済商品の拡充、広告宣伝費の積極的投下、人員の増加の成長戦略を進める。主力の海外個人旅行の受付件数は、28年8月の4億円台から24年8月は8億円台と2倍で推移している。
25年の成長戦略は、まず取り扱いエリアを拡大し、様々なパターンのツアーを用意して、顧客利便性
を追求する。オンライン決済商品の拡充は、安近短エリアなどでコンシェルジュ対応を必要としないオンラインで決済する商品を拡充させオペレーションを効率化する。広告宣伝費を積極的に投下し、潜在顧客への認知を広げ、売上を拡大させる。ツアー商品の拡充、顧客対応のために、新卒採用や中途採用などで人員の増加を進める。
これにより、25年6月期業績予想は売上高33億9300万円、営業損失2億500万円、経常損失2億1000万円、最終損失2億1000万円と見通した。
同社は22年3月期末に連結純資産が10億2100万円の債務超過となったが、24年6月期末の純資産額は21億6100円となり、上場を維持した。
親会社のアドベンチャーの出資比率は53.03%。同社は「トラベル・コンシェルジュによる人的サービスを軸に据えた海外ツアー事業」を主軸に展開しており、親会社が主軸として展開している「様々な旅行商品がオンライン上で検索・比較、予約・販売までが完了するサービス」との棲み分けを行っているとしている。
このため、同社と親会社は「それぞれの自律的な組織運営が効果的であると考え、『権限の分散』と『グループシナジーの創出』を基本的な考え方として、グループ全体の企業価値の向上を目指している。当社と親会社の取引については特別な関係はない」としている。