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2024.11.11

WING

第212回「日本が危ない」防衛力強化の流れを止めるな

波乱の衆院選で混迷の政局
情勢不安ねらう中国の手口

 

 10月27日投開票の衆院選の結果、自民党は大敗し、日本の政局は今後、混迷の度を深めていくことが予想される。こうした情勢不安の隙を狙っているのが中国だ。前首相、岸田文雄が退陣表明した後の8月26日には中国軍機による領空侵犯、続いて31日には中国軍測量艦による領海侵犯があった。いずれも明確な国際法違反であり、我が国の主権の侵害である。選挙戦では「裏金」問題に終始し抑止力の強化の議論が深まらなかった。そこでここではこれまでの取り組みを振り返りながら、混迷の時代に日本は何をすべきかを考える。
 題材となるのはこのほど出版された『国防の禁句』(産経新聞出版)だ。元防衛事務次官・島田和久、元陸上幕僚長・岩田清文、元海上幕僚長・武居智久による鼎談で、それぞれ責任者だった時の経験をもとに、あるべき国防のあり方を論じている。
 3人が「はじめに」で書いているように、「冷戦後、唯一の超大国となった米国の庇護の下に安住して良かった時代は終わった」。11月5日には米大統領選が行われるが、「誰が次の大統領になろうと、影響力の衰退は隠しようがなく、現状を所与のものと受け止め、日本は戦後初めて自分の足で立たなければならなくなった。そして自らの脳漿を絞って、進む方向を考えなければならない」のだ。

 

民主党政権下の領空侵犯
政治主導に縛られた防衛

 

 いまと同様に、民主党政権下でも、日本の政局が混迷していた。2012年12月には中国国家海洋局の航空機が尖閣諸島(沖縄県石垣島)の領空を侵犯した。
 当時は「中国との軋轢を過度に恐れるあまり、わが国の領土、領海、領空を侵す行為に対し当然行うべき警戒警備についても、その手法に極度の縛りがかけられていた」(島田)。

 

今年8月26日に男女群島沖の領空へ侵入したY-9情報収集機(提供:防衛省)

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