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防衛省・自衛隊の環境改善、国を挙げた取組みへ
関係閣僚会議、処遇・生活・生涯設計改善へ議論
防衛省・自衛隊は今、組織を挙げて組織や勤務環境の改善に取り組んでいる。戦略三文書に定められた防衛力の抜本的強化を実現していかなくてはならないものの、自衛官の募集を取り巻く環境は戦後最悪とも言われ、人手不足がより深刻化している状況だ。そのため防衛省では、人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会によって、処遇面の魅力化、省人化・無人化による部隊の高度化、OBや民間など部外力の活用という3つのコンセプトを打ち出して検討を進めてきた。
その中で石破茂総理大臣は、国を守る自衛隊の人員不足に懸念を示し、自衛官の処遇・勤務環境の改善と、新たな生涯設計の確立に向けて、国を挙げた関係閣僚会議を開催した。10月25日の第1回会議では、年内中に一定の方向性を示し、対応策など2025(令和7)年度予算案から順次盛り込んで、早急に人員減少を食い止めていくことを確認。そして11月8日には第2回目の会議が開かれ、主に処遇の改善などを議論。石破総理は、「ずっと自衛官の定数割れが続いているということは看過すべきことではない」と述べると、さらに「新規採用も半分ぐらいしか集まらないということは、このまま放置していいとまったく思っていない」と話し、自衛官の人員確保へ意欲を見せた。
第2回会議で検討した処遇改善の方策としては、特殊な業務に従事する者には特殊性を踏まえた手当を充実すべきとし、防衛省の勤務実態調査の結果も踏まえて給与体系そのものを検討すべきとした。予備自衛官の人数を確保するためにも、同様に手当の拡充や被服更新など処遇改善を図るべきだとし、訓練へ参加しやすい環境整備を進めるべきとした。特に採用が厳しい任期制士は、速やかな処遇改善によって魅力化を図り、任期制の在り方も検討が必要だとした。さらに自衛官が長年にわたって任務に精励した功績によって誇りと名誉を得るためにも、これまで叙勲の受章機会のなかった者へ拡大することを検討すべきだとした。
※写真=第2回関係閣僚会議の様子(提供:首相官邸)