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2019.01.16

WING

村川海幕長、レーダー照射で「事実を元に解決策」

データ開示可能性も、お互いの情報突き合わせ検証

 村川豊海上幕僚長は1月15日の会見で、韓国駆逐艦によるP-1哨戒機への火器管制レーダー照射事案について、日本側と韓国側の主張が平行線を辿っていることから「やはり事実を元に解決策を見出していくのが一番大切」だと、自身の見解を述べた。P-1が収集した電波情報は、協議の中で必要があれば「様々な把握しているデータというものを開示する可能性はある」と、韓国側へ情報を示す用意があることを説明。真実から再発防止策を導き出したい考えを示した。
 このレーダー照射事案は昨年12月20日に発生して以来、日本側と韓国側で意見が食い違ったまま解決策が示されていない状況が続いている。今年1月14日にも第2回目となる日韓実務者協議がシンガポールで行われたが、日本側の主張である“レーダー照射を受けた”に対し、韓国側の“低空飛行で威嚇された”との主張によって、話が噛み合わないままだ。
 こうした状況に、村川海幕長は解決策を示すためには「必要であれば日本側が把握している事実、韓国側が把握している事実、これらをしっかり突き合わせて、何が真実で、どう解決していくか真剣に話し合っていく必要がある」との考えを示した。また、電波情報の開示については「韓国側で持っているレーダーもしっかりと見せていただき、突き合わせて検証していく必要があるのではないか」と述べた。その上で「一方的にすべてを開示していくということはない」との見解を述べた。
 海自では、今も隊員が24時間、365日、以前と同様に周辺海域の警戒監視を行っている。現場の隊員の安全性に話が及ぶと、「平行線を辿っているとはいえ、射撃管制用レーダーを照射するということは、両国とも良いことではないという見解」だとして、日韓双方の間では「今後も危険なことが繰り返されるということは考えにくい」と説明した。
 再発防止策について求めたいことは、誤解を解くための意見交換だという。近接する、あるいは周辺を飛行する航空機・艦艇に対して「火器管制レーダーを照射するという行為自体、控えるべき」であり、仮に相手の行動に疑義がある場合、双方がそれなりの通信手段を持っているため「まず口話、あるいは信号で相手の意図を確認していく。誤解を解いていくことが必要なのでは」とした。その上で「いきなりレーダーの照射という話にはならないことは確か」だと話し、同事案への憤りを滲ませた。
 また、韓国側の参謀総長がレーダー照射を行った部隊に対し、国際法を順守するよう訓示したが、これは「相手の意図を確認する手段を取るべきではないかと言っているのではないか」との見解を示した。

 

レーダー照射そのものがなかったと主張する韓側
海自は従来どおりの飛行、十分な高度・距離

 

■大綱・中期防に沿って3つの基盤強化を重視

 

※写真=韓国駆逐艦からレーダー照射を受けた海自P-1哨戒機