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2024.12.18

WING

中国ミサイル増強、日本など米国外基地は危機に

 米国外航空基地、「安全」な聖域時代は終焉

 米国のシンクタンクであるスティムソン・センターが12月12日に公表した報告書によれば、米中が軍事衝突した場合、日本、グアム、その他太平洋地域にある米軍の全線航空基地の滑走路および誘導路は、数日間あるいは数週間に亘って使用不能に陥る可能性があることを指摘した。
 同センターは「過去30年間、米軍の海外空軍基地は、敵の攻撃から逃れるための安全な避難所であった。同時にこうしたサンクチュアリ(聖域)は敵対勢力を抑止し、危機の際には同盟国やパートナーを安心させるために、アメリカの航空戦力を迅速に投入することも可能にしていた」と振り返りつつ、「今やその聖域の時代は終わりを告げた。インド太平洋地域はその最たるものとなっている」とし、中国の軍事力の急速な高まりを受け、前線にある海外の米軍航空基地は危機に晒されているとの見方を示した。
 この背景にあるのが、中国が大量かつ近代的なミサイル兵器を保有し、各地に点在する米軍の海外航空基地を射程に収め、効果的に攻撃することが可能となっているためだ。
 スティムソン・センターは「航空機を分散配置すること、滑走路修復能力の向上を図ること、より強固なミサイル防衛など、複数の対策を組み合わせたとしても、この問題を解決することはできないだろう」との見解を示した。
 その上で、滑走路を使用不能とすることによって米軍の航空戦力を抑えつつ、並行して軍事行動による占領など、「北京(中国政府)が既成事実化を達成できると結論付ける危険性は、現実的に高まっている」とし、「抑止力を強化するためには、米空軍は信頼性の高いインサイド・エアフォースを構築すべき」であることを強調。「第一列島線内で同盟国やパートナー主導の航空阻止作戦を支援できる、低コストで機動性が高く滑走路に依存しないプラットフォームを優先的に大量に導入すべき」とした。

※この記事の概要
・在日米軍基地は12日間戦闘機離発着できず
 空中給油機運用できず致命的に
・分散配置・ミサイル防衛増強も対処は困難か
・同盟国等が紛争初期の制空権争い大部分の負担を

 同盟国の空軍は多種・大量の無人機・ミサイル中心に
・インサイド・エアフォースは滑走路依存しないアセットで

 民間飛行場含め能力増強、武器・弾薬含め投資を   など