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北見工大、積雪によるオーバーラン防ぐセンサ開発中
滑走路に埋設、リアルタイムで滑走路面状態把握
冬のオーバーラン事故を未然に防ぐためのリアルタイム型の滑走路モニタリング装置が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心となって産学連携で開発が進められている。このなかで北見工業大学は滑走路に埋設することができる積雪センサ「GLASS」を開発しており、実現すれば、リアルタイムに滑走路の雪の状態を把握することができるようになり、冬季の航空安全を高めることに繋がることはもとより、より効率的な空港運用を展開することができるようになると期待は大きい。開発中の「GLASS」は、二次元カメラとしてCCDカメラを用いて、様々な波長のレーザー光源をあてて、いくつかの波長の散乱光を解析することで、雪圧などを調べることができる。
北見工業大学工学部の舘山一孝准教授によれば、これまでの研究を通じて「雪圧、雪質、とくに密度に関しては同定が可能ではないかということが分かった」とのこと。この研究は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、三菱スペースソフトウェアなどが共同で取り組んでいるもので、今後も改良を続けて「2020年以降、事業化して空港に展開していきたい」としている。
北国の空港では大量に降り積もる雪との闘いが毎日繰り広げられていることだろう。青森空港の「ホワイト・インパルス」や新千歳空港の除雪隊が活躍する様は、冬の風物詩ともなっているが、安全や効率運航にとっては大きな課題だ。
降り積もる雪に対して各空港では、こうした除雪隊による除雪とスイーパー、凍結防止剤散布などを行う姿をしばしば目にする。積雪は航空機運航の大敵。安全運航の阻害要因となることはもとより、遅延、ダイバート、欠航など、運航効率性に大きな影響を及ぼすことから、エアラインにとっては毎冬の悩みの種だ。滑走路や誘導路のオーバーランは、時に深刻な事故にも繋がる事象だ。
※画像=滑走路埋設型の雪氷検知システムを開発することで雪氷によるオーバーランを防ぐ(提供:JAXA)