ウイングトラベル
ジャルパック、19年は海外旅行立て直し注力
市場動向見極め、新たな価値創出へ
ジャルパックの江利川宗光社長は1月22日に行ったメディア向け商品発表会で2019年の事業における重点課題について「海外旅行事業の立て直し、国内旅行事業のさらなる拡充に加え、訪日旅行事業を新たな収益の柱とするための取り組みに注力していく」考えを示した。さらに、事業体制のさらなる強化を図るため社内組織を一新するほか、システムや人材関連の投資にも積極的に取り組んで行くことを明らかにした。江利川社長は「旅行業界を取り巻く環境が急激に変化していく中で、今一度市場をしっかり見据える力を付けて、収益性と成長性の両面で着実に伸ばしていけるような体制作りに取り組んで行く」と強調した。
19年上期海外送客、3%増10万人目標
ハワイ商品、コスト抑制で最大5000円値下げ
ジャルパックは今年ブランド創設55周年という節目の年を迎えた。江利川社長は「ブランド創設から55年が経過した。この間、安心、安全、感動を主眼においた旅行商品を展開していき、旅行業界の発展に貢献できたことを非常にうれしく思っている」と振り返った。「昨年の日本人出国者は過去最高の1895万人となり、55年前に比べて約150倍の成長を見せたマーケットとなった。一方で、市場構造や消費者ニーズは急激に変化してきている。そうした中で、ジャルパックの海外旅行事業はここ最近の成長が伸び悩んでいる状況が続いている」と現状分析した。
同社の18年下期海外旅行パッケージ商品の取扱い人数はヨーロッパ、中国、アジア、ミクロネシアが好調に推移したことで、前年同期比3%増の9万2000人となったが「当初立てていた目標よりは下回る結果となった」と振り返った。
19年上期海外商品については「新たな価値を生み続けていき、反転の年とできればよいと考えている」と江利川社長は話す。
昨年12月から発売している19年度上期の海外旅行商品はこれまで需要層別に複数分かれていたパンフレットについて統合し、お得なツアーからワンランク上の商品までを1つのパンフレットで選べるようにして、多様な需要に応えていく内容とした。また、ハワイとグアムについては同社としては初となる2カ月から4カ月の有効期間付きとし、販売時期に応じた最新価格で消費者に旅行商品を提供できるようにした。
ハワイに関しては航空座席数の増加などにより旅行会社間での競争がこれまで以上に激化していくことが予測される。そうした中で同社は、現地のオプショナルツアーのラインアップを強化したほか、原価を極力抑制することで対前年に加え旅行代金を2000円〜5000円程度値下げした。また、子供の旅行代金を半額とする特典を復活。家族層の需要取り込みを図る。さらに日本航空(JAL)と提携関係にあるハワイアン航空の札幌線や羽田線を利用する商品も拡充し、新たな需要開拓に取り組んで行く方針だ。
19年上期については、グアム線が減便となるミクロネシア方面を始め一部方面は減少を見込む、ハワイ、米国、オセアニア、中国を中心に主要地域では上積みしていき、トータルでは前年同期比3%増の10万人の送客を目指す。
さらに今後の海外旅行事業について江利川社長は「海外ダイナミックパッケージの取扱いを強化して、OTAとの競合に打ち勝っていきたい。また、現在4月の実施に向け最終調整中だが社内の組織を一新する。これにより、より方面別で需要にマッチした商品提供が行える体制を整えていくほか、コスト構造の最適化に向けてさまざまな構造改革に取り組んで行く」と述べ、より競争力の高い海外旅行商品の提供が実現可能な体制を構築していきたい考えだ。
※写真=国内、海外部門の担当者とともに2019年度上期の旅行商品を紹介するジャルパックの江利川宗光社長(写真中央)