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2025.03.01

WING

川崎重工業、事業拡大のチャンスを迎える防衛産業

 「深化」と「探索」の“両利き経営”推進

 

 足下で地政学的リスクの高まり、経済情勢が刻々と変化するなど、先行きが読みづらい時代となっている。そうしたなか日本政府は抜本的な防衛力強化に乗り出し、防衛関連予算を5年間で43兆円(2023年度~27年度)に増額することを決定しており、川崎重工業の防衛事業に強力な追い風が吹いていることも確かだ。
 川崎重工業航空宇宙システムカンパニーの下川広佳プレジデントは政府のこうした方針に基づく予算拡大に、「我々防衛事業に携わるものとして大変ありがたい。事業拡大の最大のチャンスを迎えていると認識している」と話した。
 その上で「防衛三文書および防衛生産基盤強化法に基づく様々な施策が展開されており、各種施策を反映した新たな契約に切り替わるタイミングが2027年度であり、その頃には事業利益率10%が見えてくると考えている」との見方を示した。
また、「航空宇宙システムカンパニーでは、防衛事業と民間事業、それぞれ多岐に亘る製品・サービスを扱っているが、基本的には防衛と民間、機体とエンジン、この4区分の事業を持続的に経営・成長させていく」とし、「既存事業の“深化”と新規事業の“探索”をバランス良く展開する“両利き経営”を実践する」ことを基本方針としていることを明かした。
 既存事業においては「防衛事業で言えば、P-1およびC-2の量産をベースに、電子戦機といった派生機の開発を推進する。その派生機開発に取り組みながら、また新たな製品をお客様に届けていくこと。これが深化だ」と話したほか、さらには品質および生産性向上の取り組みを深堀りしていくとした。
 「既存事業の深化がベースとなるが、一方で防衛事業は大きな変化点を迎えていることも確かだ」とコメント。日英伊3カ国共同開発のGCAPのほか、川崎重工業が防民で展開を目指すK-RACER、次期練習機など、新たな事業の「探索」に絡む案件が続々と生まれてきていることに触れた。さらに、民間航空機分野でも、2030年度の地上実証に向けて推進している水素航空機コア技術研究プロジェクト、ヘリコプター手配サービス「Z-Leg」といった新規事業に取り組んでいることに触れ、「これらを将来に向けた小さなビジネスの芽として育てていきながら、来るべき時に向けて準備する。それこそ、これからの生命線になっていくだろう」とした。

 

※写真=事業拡大のチャンスを迎えた防衛産業。下川プレジデント

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