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2025.03.01

WING

機体供給遅れ、航空会社の搭乗率が過去最高更新

 メーカー供給問題根深く、旅客需要は前年比10%増

 

 国際航空運送協会(IATA)がまとめた今年1月の世界の航空旅客市場に関するデータによれば、旅客需要の指標となるRPKは、前年同月比10%拡大したことが明らかになった。座席供給量を表すASKも7.1%伸びており、その結果、搭乗率(L/F)は2.2ポイント上昇した82.1%と、1月単月として過去最高を記録した。
 「搭乗率が過去最高を記録した」と聞けば、誰しも旺盛な需要で盛り上がりをみせていると想起するころだろう。もちろん、世界的に需要は旺盛に推移する傾向にある。ただ、この搭乗率過去最高更新の裏には、足下では航空会社が発注した機体を計画通りに受領することができないという大きな問題を抱えてしまっているという理由がある。そのため需給バランスが大きく崩れてしまってきており、航空会社が計画していたネットワーク便数計画にも狂いが生じている。
 これは欧米航空機メーカー、エンジンメーカーにおけるサプライチェーン問題が根深く横たわっていることが原因だ。新型コロナパンデミックの発生により、多くの熟練工、優秀なエンジニアが航空業界を離れて他業界に流れてしまっており、航空旅客需要が回復しエアラインから新造機需要があったとしても、メーカー側は思うように生産を回復・拡大することができずに苦しんでいる。各社とも改善傾向にあるとの見方も示しており、今後、生産量の回復が徐々に進んでいくことが期待されそう。しかしながら、採用した人材の教育・訓練などを含め、急激に生産量を回復することは難しく、もうしばらくこの問題の影響は続きそうだ。

 

※写真=1月単月として搭乗率が過去最高を更新。メーカー側の機体供給遅れが背景にある

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