ウイングトラベル
■台湾観光庁・台湾観光協会東京事務所長が交代

鄭憶萍氏が帰任、王紹旬氏が新所長に就任
3月14日付で台湾観光庁・台湾観光協会東京事務所長が交代する。足掛け9年、丸8年間東京事務所を務めた鄭憶萍氏が台湾へ帰任し、新所長に王紹旬氏が就任する。鄭憶萍氏は台湾本局に戻り、企画部専門委員に就任し、台湾インバウンド全体の業務に携わる。
東京事務所で記者懇談会に臨んだ鄭所長は、約9年間の日本駐在を振り返り、「日本は台湾にとって最も大切な市場で、とくに東京は注目される重要な拠点」と語った。任期中に最も印象に残ったイベントとして、2019年に台湾が初めて参加した青森ねぶた祭りを挙げ、「台湾からは巨大な豚のねぶたを出展した」と当時を懐かしんだ。台湾ランタンフェスティバルに干支の猪(アジアは豚)の「天蓬大元帥」が参加した。
また、コロナ禍でも活動を止めなかった点として、「2021年頃、台湾は世界で唯一のトラベル・バブルのファムツアーを実施した。日本旅行業協会(JATA)と共同で渡航の鍵を開けるという試みをし、台湾でも注目された」と語った。
コロナ後の観光復興に向けた取り組みとしては、「昨年のBtoC(一般消費者向け)イベントでは、渋谷の会場で入場前に数百人が並ぶほどの人気だった」と振り返り、「この数年で台湾と日本はマスクやワクチン支援など様々な交流があり、台湾の知名度も日本で高まった」と述べた。
コロナ禍で「トラベル・バブル」、台湾でも注目
日台観光客の不均衡解消へ台湾南部誘客を促進
鄭所長は「日本と台湾の関係は観光だけでなく様々な分野で深まっている」とし、「能登半島地震の際には台湾から支援の手が差し伸べられ、逆に台湾で2023年4月に地震があった際には日本から多くの励ましのメッセージが届いた」と両国の絆の強さを強調した。
日台間の観光客数のアンバランス解消についての質問に対し、鄭所長は「2024年の訪台日本人数は132万人で、訪日台湾人の600万人と比べると大きな開きがある」としつつも、「台湾人にとって日本は最も好きな国だが、円安などの要因で不均衡が拡大している」と分析。対策として「日本の旅行会社と連携した広告展開や集客イベントの実施、商品造成支援などを行っている」と説明した。
具体的な取り組みとして、「JATAと共同で2年連続で天燈上げイベントを行い、今年も継続予定。また、6月27日には台湾の遊覧船を日本人観光客専用にするイベントも計画している」と述べた。さらに、「今年6月末まで5000円キャンペーンを実施し、FIT(個人旅行)や熟年層向けの特別プロモーションを展開している」とした。
鄭所長は、現在の訪台日本人旅行者の約90%が台湾北部に集中していることから、「旅行会社と協力して台湾高速鉄道やバスを利用した南部への商品造成を促進している」と説明。「訪台日本人の約45%がリピーターであり、飽きられないよう台湾の地方を紹介する努力をしていきたい」と今後の展望を示した。
※写真=足掛け9年の東京所長勤務を振り返る鄭憶萍氏