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17年度緊急発進904回、中国351回減も特異飛行増
小型無人機の領空侵犯、戦闘機の対馬海峡通過など
統合幕僚監部がまとめた2017(平成29)年度実施の緊急発進回数は、2016年度よりも264回少ない904回だった。そのうち中国機が351回減の500回、ロシア機が89回増の390回。中国機による領空接近事案は数こそ大幅に減少しているが、特に昨年5月には小型無人機による尖閣への領空侵犯、12月には初の戦闘機による対馬海峡通過事案が発生するなど、その行動や範囲を広げていて、引き続き厳重な警戒が必要だとしている。
中国機を対象にした緊急発進は、前年度に比べて大幅に減少したものの、実施した緊急発進全体に対して約55%を占める割合となった。さらには、長距離の飛行を行ったり、特定の海峡を通過したりといった、特異な飛行については、前年度よりも17件増となる43件を公表。そのうち、沖縄本島と宮古島間を通過した公表件数は36件になり、これは初めて同経路での飛行を確認した2013(平成25)年以降最多で、統幕ではこうした特異な飛行が目立ってきている状況に警戒感を示した。また、緊急発進を行った航空機の種類は、戦闘機、爆撃機、情報収集機など多様だったが、特に戦闘機に対する緊急発進が多かったという。
露機へ89回増、爆撃機の長距離飛行多発
北空・中空で回数増、西空・南西空では減少
ロシア機に対する緊急発進は、前述どおり89回も増えた結果となったが、これまでにも同程度の数で増減を繰り返していて、統幕では想定の範囲内だとしている。また特異な飛行についても、これまでロシア機は長距離飛行などの行動が確認されてきたが、2017年度は8、10、2月などでTu-95爆撃機が日本周辺の長距離飛行を行うなど多発し、前年度よりも12件増の21件の事例を公表した。航空機の種類については、特に爆撃機に対する緊急発進が多かったとしている。
航空自衛隊の方面対別に緊急発進回数を見ると、北部航空方面隊が65回増の330回、中部航空方面隊が22回増の53回、西部航空方面隊が25回減の41回、南西航空方面隊が326回減の477回だった。ロシア機に対する緊急発進回数が増えたことなどにより、北空、中空では回数が増加。一方で中国機への緊急発進回数が大幅に減少したため、西空、南西空では減少となった。
《17年度緊急発進実施状況》
▼露:390回=4-6月:125回、7-9月:142回、10-12月:61回、1-3月:62回
▼中:500回=4-6月:101回、7-9月:186回、10-12月:108回、1-3月:105回
▼台:3回=4-6月:0回、7-9月:1回、10-12月:2回、1-3月:0回
▼他:11回=4-6月:3回、7-9月:3回、10-12月:4回、1-3月:1回
■合計:904回=4-6月:229回、7-9月:332回、10-12月:175回、1-3月:168回
《国・地域別緊急発進回数》
▼13年度:計810回=露:359回、中:415回、台:1回、北:9回、他:26回
▼14年度:計943回=露:473回、中:464回、台:1回、北:0回、他:5回
▼15年度:計873回=露:288回、中:571回、台:2回、北:0回、他:12回
▼16年度:計1168回=露:301回、中:851回、台:8回、北:0回、他:8回
▼17年度:計904回=露:390回、中:500回、台:3回、北:0回、他:11回
※図1=17年度中・露飛行パターン(提供:統幕)