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2025.04.17

ウイングトラベル

★1~3月、訪日旅行で4.6兆円の経済効果

秡川観光庁長官、トランプ関税「現時点で懸念せず」

 

 観光庁の秡川直也長官は4月16日に行った定例記者会見で、今年1~3月累計の訪日外客数が過去最速で1000万人を突破し、消費額が1-3月期としては過去最高となる2兆2720億円となったことについて「非常に良いトレンドで推移している」と述べるとともに、1-3月期における訪日インバウンドによる経済波及効果が4.6兆円規模と推測される」と指摘した。一方、米国のトランプ政権による相互関税政策の影響について「現時点で観光への影響は出ておらず、懸念もしていない」と述べる一方で「トランプ政権の政策はダイナミックな動きが見られるので、よく注視しながら状況を見守っていきたい」という考えを示した。

 

 訪日外客、過去最速の1000万人超え
 為替左右されず引き続き好調な動き

 

 日本政府観光局(JNTO)が発表した3月の訪日外客数は349万7600人となり、3月として過去最高の数値となったほか、1~3月の累計では1053万7300人となり、過去最高のペースで1000万人を突破する結果となった。
 この状況について秡川長官は「3月は大きなイベントがないなかで、どのような動きをしていくのか注目していたが、非常に調子良く動いており、訪日のトレンドは引き続き強いのではないかと感じているところだ」と述べた。
 また、消費額についても「1人当たりが使ってもらうお金がちょっと増えている上に人数も上積みされており、非常にありがたいと感じている」と述べた。
 さらに訪日インバウンドが経済に及ぼす効果について「これまでの動きから、消費額のおおよそ2倍くらいの効果が見られると考えており、それに基づくと4.6兆円程度の効果があったと推測することができる」と指摘した。
 一方で米国の相互関税政策の動きに呼応して株価や為替が乱高下する中で、観光におよぼす影響については「観光庁としてもヒアリングをしてみたが、現時点で旅行への影響が出ているという情報はない」とした。
 また、訪日インバウンドに関しても「海外からの旅行者は円安を動機にして日本への旅行を実施するという流れにはなっていないと捉えている」と述べ、現時点で、いわゆる「トランプ関税」に対する懸念はないという考えを示した。
 さらに会見では、訪日インバウンドの増加にともなうオーバーツーリズムへの懸念や日本人旅行者の「主要観光地離れ」を指摘する声について触れられた。
 秡川長官は「京都の主要観光地で日本人旅行者の訪問が減っているという話は承知している。ただ一方で日本人旅行者は混雑を避けて京都の別の場所に出かけているというデータもあり分散が進んでいるという見方もすることができる。日本人の国内延べ旅行者数は前年比8%増となっている。国内旅行も重要な市場であるので引き続き促進を図っていきたい」という考えを示した。
 またオーバーツーリズムに関しては「地域によってさまざまな動きが見られている中で、目の前で起きている出来事の対策と中期的な視点で取り組むべきことがあると考えている。観光庁としても現在さまざまな支援を行っているところではあるが、引き続きしっかりと取り組んでいきたい」と述べた。

 

※写真=メディア各社との定例記者会見に応じる観光庁の秡川直也長官