【潮流】トランプ関税と国際観光
トランプ政権の相互関税政策が世界経済を揺るがす中、観光業界は現段階ではその影響をほとんど受けていない。観光庁の秡川長官が「現時点で観光への影響は出ておらず、懸念もしていない」と述べるように、訪日インバウンドは好調を維持し、1〜3月期だけで訪日外客数が1000万人を突破、消費額も過去最高を記録した。
2024年の訪日外国人旅行者数は2019年比15.6%増の3687万人と過去最高を記録し、消費額も19年比68.8%増の8兆1257億円と驚異的な伸びを示している。UNツーリズム(国連世界観光機関)によると、アジア太平洋地域全体で国際観光客数の回復が加速する中、とくに日本は16%増と、モルディブの20%増に次ぐ高い回復率を誇る。
一方で、世界経済の先行きには暗雲が漂う。トランプ政権は日本に24%、EUに20%、中国に34%の相互関税を課し、全ての国に対して一律10%の基本関税も設定した。多くのエコノミストはこの政策が世界経済を減速させ、景気後退のリスクを高めると警告している。だが、観光業界は好調を維持している。