ウイングトラベル
★星野リゾート、自然観光の需要開拓に注力

山岳ホテルの新ブランド「LUCY」立ち上げ
星野リゾートは4月22日に定例のオンラインプレス発表会を開催した。発表会では同社の今後の取り組みの大きなテーマの1つとして日本国内における「自然観光」の推進に力を入れる方針が示され、山小屋を改装した山岳ホテルブランドの「LUCY(ルーシー)」を新たに立ち上げて、第1弾として今年9月に群馬県・尾瀬に施設を開業すると発表した。このほか、群馬県の草津温泉に温泉旅館ブランドの「界」が進出するのを始め、横浜に2軒の都市観光ホテル「OMO」を開業するなど、2026年春までに新規開業、リニューアル含め7施設がオープンすることとなっているとした。
山岳観光に新たな一石、1軒目は尾瀬
オーバーツーリズム対策にも寄与
自然観光への取り組み強化の狙いとして同社の星野佳路代表は「観光客の分散」と「山岳観光のリブランド」を挙げた。
星野代表は日本国内を取り巻く観光の現状として「東京、京都、大阪など大都市圏に一定の期間に集中して観光客が押し寄せており、これがオーバーツーリズムとして強調されている」と指摘。そうした中で「自然観光などの魅力を伝えることで観光客を分散させることが大切」であると述べた。
そうした中で星野代表は「日本ももっと山の魅力を広め、泊まるからこそ出会える感動体験を楽しんでもらいたいという想いから山岳ホテルブランドを立ち上げることとした」と述べた。
星野リゾートは群馬県の谷川岳ロープウェイの経営権を取得し「谷川岳ヨッホ」として新たな観光施設開発を進めるなど、「山のリブランド」に取り組んでいるところだ。山岳ホテルの取り組みもこの一環となる。
星野代表は山岳ホテルの展開により「コアな山好きだけでなく、初心者にも利用してもらい、自然や登山の魅力に触れるきっかけを与えたい」とくろわじーュアリーホテルの「星のや」、温泉旅館の「界」、リゾートタイプの「リゾナーレ」、都市観光ホテルの「OMO」若年層に焦点を当てた「BEB」に続く6ブランド目となる。
星野代表は「いたずらにブランド数を増やしたいとは考えていないが、LUCYはターゲット層が明確に異なることや全く違った機能を持った宿泊施設であり、マーケティング上正しいステップである」と述べ、新ブランドの立ち上げの意義を強調した。
LUCYの第1号店として9月1日に開業するのが、群馬県尾瀬の「LUCY 尾瀬鳩待」だ。「最高の尾瀬ハイクがはじまるホテル」をコンセプトに、プライベートな寝室、温水洗浄トイレ、シャワー&パウダールーム、贅沢ごはん、24時間利用できるホテル内のコンビニ、無制限に使える充電&Wi-Fiなどが完備されており、登山初心者でも安心して山での滞在を楽しむことができるとしている。
このほか、富山県の立山にも山岳宿泊施設の開設を計画していることを明らかにした。こちらについては、どのブランドで立ち上げるかについては現時点では未定であるとした。
※画像=今後の事業展開や観光産業を取り巻く課題について語る星野リゾートの星野佳路代表