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ボーイングの777Xに見る客室哲学、調査情報重視
物理的拡大のほか、深層心理で広く見せることも
ボーイング民間航空機部門でキャビン・エクスペリエンス&レベニュー・アナリシスを担当しているケント・クレバー氏が来日して、メディアを前にボーイング旅客機の客室設計の哲学(スカイ・フィロソフィー)とその最新成果である777Xのインテリア・デサインについて話した。乗客にとっても、エアラインにとっても旅客機の最も重要な要素といえるキャビンをどのように魅力あるものとしていくのかということは、民間航空機メーカーの最重要課題の一つだ。
ボーイングでは「パッセンジャー・エクスピリエンス・リサーチ・センター」を設けて、旅客の嗜好や要望を継続的に調査した膨大なデータを収集し、それを設計のアイディアとして活用して、キャビン設計案を作成、これをエアラインと議論してフィードバックを得た設計案をさらに旅客の飛行実証まで行うサイクルを繰り返していくという。アンケート調査の場合、「設計変更などについて直接的に質問しないで、何についての質問かわからないような質問から深層心理を掴むような手法も取られてきた」とも話す。閉じられた機内空間を如何に広く感じさせるかといったことは、深層心理的なアプローチが適しているとのことだ。特に近年、キャビンはエアラインにとって自社ブランドの表現の場ともなっており、座席やギャレー、ラバトリーなどのエアラインが選定する要素だけでなく、内装、照明、ビン(頭上荷物入れ)の構造と配置、窓の位置と形など機体側が設計する要素にもエアラインの意向を十分反映させる必要がある。エアラインとの議論を「交戦」と呼んでいるように双方真剣に議論し、大変な労力と時間を要するようだ。
777Xの新キャビンは窓を拡大、空と繋がる
ビジネスクラスでは中央ビン廃止案も
777、787でインテリア設計に転機
777Xでは人にやさしいインテリアを重視
※写真=ボーイングのケント・クレバー氏
※画像=ボーイング777Xの中央上部に荷物入れ(ビン)のないタイプのビジネスクラス・インテリアのCG。オプションとしてエアラインに提案される(提供:ボーイング)
※画像=同じく777Xの窓際座席上部の新しいビンのCG。キャリーバッグを縦に収容できることで収納数が増やせる。中央ビンのないタイプのインテリアに対応(提供:ボーング)