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A380は生産中止か、生き残れるのか?
エアバス、エミレーツ航空と交渉
エアバスが開発した総二階建てのA380。この超大型旅客機が、再び岐路に立たされている。エアバスは1月31日(仏現地時間)、A380の契約についてエミレーツ航空との間で話し合いをしていることを発表した。エミレーツ航空は昨年1月18日に、追加で20機を確定発注する覚書(最大36機)を締結していた。日本国内では全日空(ANA)がA380を成田-ホノルル線に5月から投入する計画にあるなど、A380に対する期待が上昇しているものの、世界を見渡せばA380はその生産継続が危ぶまれる事態となっている。
A380は総二階建ての超大型機ということで、航空会社は広大な客室空間をフルに活用すべく、様々な客室デザインを生み出した。ダブルベットやシャワールームなど、A380ならではといえる客室空間を誕生させ、空の旅を大きく変えることに成功した。
一方でエアバスにおけるA380の受注数は、思うようには伸びていない。主としてグローバルな経済環境の変化や乱高下する原油価格が影響しているとみられるが、エアバスにおけるこれまでの累計確定受注数は321機(18年12月末現在)。エアバスはこれまでに234機を納入済み(同)で、受注残数は87機となっている。昨年A380は20機の確定受注数を獲得したものの、苦しい状況が続いている。
世界の航空需要をみてみると、小型の単通路機の需要が旺盛な一方でA380クラスの超大型機の需要は長らく低迷。エアバスが昨年発表したグローバル・マーケット・フォーカストによれば、長距離運航を行うA350-1000やA380などの機体需要は今後20年間で1590機の需要に留まる見通しだ。
※写真=エミレーツ航空のA380発注見直し検討で再び追い込まれたA380
※写真=エミレーツ航空のA380。中東ハブを支える重要なツールだがエミレーツ航空は追加発注分の見直し検討に入った様相だ(提供:エミレーツ航空)