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潜水艦「まきしお」、隊員の任務・生活に迫る
少数精鋭で機密の任務、抑止力として存在感
海上自衛隊の機密の塊ともいわれる潜水艦。秘匿性の高い任務が多く、実態の多くは明らかにされていない。このほど記者クラブでは、広島県呉市の第1潜水隊に所属するおやしお型「まきしお」を取材する機会を得た。ここでは潜水艦の任務や乗員の艦内での様子に迫る。
海上自衛隊の自衛艦隊には、護衛艦隊、航空集団、潜水艦隊とあって、それぞれ主力装備となっている護衛艦、航空機、潜水艦を運用する。そのうち潜水艦は、おやしお型、そうりゅう型合わせて20隻あり、神奈川県横須賀市と呉市にそれぞれ配備されている。潜水艦は主力装備ではあるが、潜水艦隊に所属する隊員の割合は、ほかの護衛艦隊、航空集団と比べて少数で、自衛艦隊約2万8000人に対して約2000人に留まる少数精鋭だ。警戒監視をはじめとした任務に就く。
潜水艦は水中を航行すれば、発見することが極めて難しい。そのため、保有すること自体が近隣国に対する抑止力にもなるという。記憶に新しいのは、去年9月に南シナ海で潜水艦「くろしお」とインド太平洋方面派遣訓練の護衛艦「かが」「いなずま」「すずつき」による対潜水艦戦訓練だ。本来極秘扱いの潜水艦の行動を公表したことは異例といえ、南シナ海で基地建設を進める中国への牽制が狙いだとされる。実際に中国では、同訓練に反発する姿勢を示し、改めて潜水艦の存在感を示した。
水中で20ノット、速力は自転車より速い?
取材した「まきしお」は、おやしお型の潜水艦。海上自衛隊では同型で11隻を保有する。全長が81.7メートルで、基準排水量が2750トンだ。機関方式はディーゼル・エレクトリック方式で、2基の川崎12V25/25Sディーゼルエンジンによって発電し、推進電動機を動かして推進力を得る。速力は水中で20ノットとなっているが、時速にすると約35キロ。自転車よりもやや早い程度だ。これを乗員約70名が乗り込んで、任務に当たる。
十字舵のおやしお型、そうりゅう型はX舵
壁やバルブが迫る艦内、個室は艦長室のみ
乗員1人で姿勢を制御、魚雷の架台にはベッド設置
潜水艦の女性配置制限解除
全員女性の潜水艦は誕生するか
※写真1=この度、艦内を取材することができたおやしお型「まきしお」
※写真2=記憶に新しい南シナ海での「くろしお」とインド太平洋方面派遣訓練部隊との対潜戦訓練(提供:海上自衛隊)
※写真3=「まきしお」のセイル部分
※写真4=「まきしお」の舵は十字となっている
※写真5=そうりゅう型の潜水艦にはX舵が採用されている