記事検索はこちらで→
2019.02.19

WING

航空局、自衛隊退職パイロット対象に試験合理化

19年度スタート、型式限定試験あわせ計器飛行証明も

 パイロット不足に直面している国内の航空業界の課題を解決すべく、航空局は試験の更なる合理化に乗り出す。具体的には2019年度から、飛行経験を有する自衛隊パイロットを対象に、民間企業入社後に会社負担で行う事業用操縦士型式限定の資格試験にあわせて、計器飛行証明試験を受けることができるようにするなどして、自衛隊出身パイロットの活用を拡大することで、民間航空のパイロット・リソースを確保しやすくする狙いだ。ちなみに現行では訓練経費はもちろんのこと、計器飛行証明試験も小型機を用いた試験を入社前に個人負担で受験することが必要となっているなど、個人負担が大きな仕組みとなっている。
 航空局によると、採用された航空運送事業者などにおいて、事業用操縦士の型式限定変更訓練を受ける人を対象に、計器飛行証明と型式限定変更にかかる実地試験を同時に実施することができるようにする。この際、型式限定変更に係る試験科目に計器飛行証明の野外飛行などの科目を併せて実施することができるようにすることを検討中だ。
 さらに航空局は、これまでの防衛省側との調整で、「在籍時に民間航空と同じ計器飛行能力を有していることを確認済み」とのことで、一部の実地試験を縮減することを検討中だ。
 あらたに「自衛隊出身操縦士に対する計器飛行証明(飛行機)の実地試験について」を制定し、一定の飛行経験を有する自衛隊出身パイロットが、計器飛行証明を取得する際の負担を軽減することを目指す。
 具体的には航空法の事業用操縦士技能証明(多発の等級限定)を保有し、航空自衛隊または海上自衛隊において、操縦士として「計器飛行証明(緑)」を取得した経歴を有し、航空自衛隊または海上自衛隊の正操縦士(機長)として一定の計器飛行証明の経験を有する人を対象に、実地試験を軽減することを検討中だ。航空局は3月を目処に
 また航空局によると、国土交通省、防衛省、そして航空会社が協力して、会社説明会やキャリアモデルの情報提供などの環境整備も進めていくことで、官民共同でパイロット・リソースの確保を目指していく方針だ。

 

大量退職や世界操縦士奪い合い戦争
パイロット不足に悩む日本の航空業界

 

※写真=日本では少子高齢化、そして世界的なパイロット・リソースの奪い合いが激しくなりパイロット不足がエアラインの成長戦略に影響を与えるケースもみられるようになっている。官民協働でパイロット不足解決に向けて歩調をあわせる