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2019.02.20

WING

日欧加共同で無人月面離着陸「ヘラクレス」計画進行

2026年ターゲット、将来の有人月への布石で技術実証

 日本、欧州、そしてカナダの3カ国・地域が共同で来る2026年をターゲットとして、2030年代の将来の有人探査を見越した無人離着陸船とローバーを送り込む「HERACLES」計画(ヘラクレス:Human Enhanced Robotic Architecture for Lunar Exploration and Science)が進行中だ。このほど、この計画の概要が少しずつ明らかになってきた。
 「ヘラクレス」は「アリアン6」ロケットを使って開発する月離着陸船・ローバーを直接月に送り込み、無人ローバーを月面に展開。有人宇宙船「オライオン」(オリオン)で深宇宙探査ゲートウェイに滞在する宇宙飛行士が遠隔操縦をして、およそ15キログラム程度の月面試料を取得して、離陸船でゲートウェイまで持ち帰り、その後「オライオン」で試料を地球に持ち帰ることを目指す。
 JAXAによれば、「ヘラクレス」は離陸エレメント、着陸エレメント、そしてローバーで構成しており、このうち日本は着陸エレメントの開発を担当する。
 日本では独自に月への高精度着陸技術実証を目指す「SLIM」のほか、月極域探査などが計画されているが、ヘラクレス計画の目的は「まず一番目の目的として有人月面探査技術の実証」とのこと。具体的には将来の有人月離着陸機、与圧ローバーがターゲットとなるため、その開発に必要な「月着陸、月面移動、離陸して深宇宙探査ゲートウェイに帰還する一連の動作を技術実証する」ことになる。
 そうした一連の技術実証に加えて、「2番目の目的として、探査と科学に関する知見の獲得ということでサイエンスにも取り組む」としており、月の試料を持ち帰ることで、月科学に貢献することを目指す。
 なおJAXAによれば「ヘラクレス」計画は、今年4月にも共同プログラムレビューを行う計画にあるほか、さらに欧州では11月にESA閣僚級理事会を開催して、次の段階に引き上げるか否かを決定していく。
「ヘラクレス」のシステム構成とは?

 

※画像=日欧加の3カ国地域共同で無人の月面離着陸技術実証を目指す。将来の有人月へと繋げていく(提供:JAXA)