なぜ?から知る各国の教育材料 ベトナム01
ベトナム Socialist Republic of Viet Nam
日本経済が外国に与える影響を知る
バイクのことを「ホンダ」と呼ぶ
ベトナムを訪れると、バイクの多さに驚きます。ハノイやホーチミン市などの都市では、交差点の最前で信号待ちをしているバイクの大集団を、ベトナムらしい光景として写真に収める観光客も多くいます。そのバイクのことをベトナムでは「ホンダ」と呼んでいます。「スズキ」も「ヤマハ」も走っていますが、「ホンダ」がバイクの代名詞になっています。
ホンダがベトナムに最初にバイクを輸出したのは1967年のこと。それを機に、ホンダのバイクがベトナムを席巻し、ブランド力が高まりました。1996年には現地にホンダベトナムも設立され、現地生産が始まりました。
ベトナム人にバイクを指して、これは何と聞くと、力強く「ホンダ」と返ってきます。生徒の「なぜ?」を引き出すことで、海外に普及する日本製品について学び、外国社会に進出することの意味を考える機会を与えます。
ベトナムの歴史遺産から日本との交易の歴史を知る
ホイアンに「日本橋」という名前の橋がある
ベトナムの古都で、世界遺産のホイアンの中心部に架かる小さな木造屋根付きのアーチ橋「来遠橋」は、ホイアン観光のハイライトです。その命名は論語の「朋あり遠方より来たる」から引用されたと言われています。
その歴史は古く、1593年に当時ホイアンに居住していた日本人が架けたとされています。当時は徳川幕府の鎖国政策前で、ベトナム(安南国)は朱印船貿易の重要な相手国だったことから、ホイアンにも多くの日本人商人が住んでいました。ベトナムと日本との友好を示す橋として、親しみを込めて別名「日橋」と呼ばれ大切にされています。
橋の中央にはカウ寺、橋の両端には建築の開始と終了時の干支であった申と戌の像が建てられています。1990年にはベトナムの歴史的・文化的名跡にも指定され、ベトナムの紙幣にも描かれています。
紙幣にも印刷されているホーチミン
ベトナムの通貨ドンは種類と桁が多い
紙幣の種類の多さと桁の多さに戸惑ってしまうことがしばしばあります。紙幣の種類は、100ドンから50万ドンまで実に12種類。その桁を見ると、大金を抱えているように錯覚しますが、一番高額の50万ドン紙幣でも現在のレートで約2,240円(2021年1月5日時点)ほどです。
その理由は、1980年代半ばから1990年代初めにかけて急激なインフレに見舞われたためで、現在でもデノミは行われず、もとの通貨価値で流通しています。
しかし、1986年から始められた改革開政策「ドイモイ」によって、社会主義経済から市場経済に転換。その成果は着実に表れ、2019年の経済成長率は7.02%(ベトナム統計総局)になるなど、通貨ドンも安定しています。
すべての紙幣の表面にはベトナム民主共和国建国の父ホーチミンが描かれています。ホーチミンは、国家主席になっても質素な生活を送り、その姿勢は多くの国民に慕われ、今でも親しみを込めて「ホーおじさん」と呼ばれています。念願の南北統一を見届けることなくこの世を去りましたが、南部のサイゴン市は統一後に「ホーチミン市」に改められました。