旅行会社とグアム需要を拡大
2018年のグアムへの日本人旅行者数は、前年比9%減の56万3200人だった。グアム政府観光局(GVB)は2018年を「回復の年」と位置づけ、2017年の北朝鮮のミサイル問題の影響から回復をめざし、年間旅行者数を45万〜50万人と見込んでいたが、後半の伸びで56万人台まで上昇した。
供給量は前年比16%減の73万6273席で、日本航空(JAL)の成田−グアム線ダブルデイリー化、ユナイテッド航空(UAL)の成田−グアム線機材大型化、中部−グアム線週11便化、チェジュ航空の関西−グアム線就航などはあったものの、年間80万席を大きく割った。
しかし、それでも需要を9%減にとどめたことは、日本人のグアム需要が回復している証であり、まさにGVBが位置づけた「回復の年」となり、2019年に向けて態勢は整ったといえる。
GVBでは、2019年の日本人旅行者数を前年比13.6%増の64万人と予想している。この数字は2017年の62万人を上回る数字で、今年は2017年後半の北朝鮮ミサイル問題の影響を完全に払拭することを目標としているようだ。
そのためには、供給量を増やすことが前提になるが、GVBでは、2019年の供給席数を前年から10万席以上増える84万席と見通している。とくに、今年は10連休のゴールデンウィーク(GW)期間を中心にチャーター便が前年の8万5000席から12万5000席に約4万席増加する見込みだ。
定期便もJALはGW期間に成田−グアム線を1日2便化、9月から機材大型化、UALは成田−グアム線の臨時便拡大、機材大型化、ティーウェイ航空は中部−グアム線就航、さらに関西−グアム線の修学旅行チャーター便拡大など好材料が目立つ。
こうした供給量の拡大を受けて、GVBは2019年の日本人客目標64万人を達成するために、旅行会社向け、一般向けの需要拡大キャンペーン、プロモーションを展開する。とくに、今年は例年にも増して、「旅行会社向けのプロモーション拡充」が特筆される。
GVBの金子宗司日本代表代理は日本市場について、「グアムは7割が旅行会社手配で占める。7割までシェアのあるデスティネーションはなく、旅行会社とがっちり組むことで、グアムへの販売増へつなげたい」と旅行会社と二人三脚で需要を拡大していくことを強調している。
このため、旅行会社が最も得意とするインセンティブ旅行などのMICEと教育旅行に対してのサポートを充実、強化する。
昨年は供給量が減少したことで、社員旅行などのインセンティブを取り込むことが難しかったが、今年は供給量が拡大し、社員旅行を中心にイベント、ミーティングなどのMICE需要が伸びている。また、チャーター便利用の社員旅行も増えており、GVBでは、旅行会社をサポートするインセンティブ・プログラムを継続する。
また、修学旅行などの教育旅行では、今年から初めて、下見ツアーの一部費用をGVBが負担して旅行会社をサポートする。ティーウェイ航空が関西から修学旅行チャーターを実施していることもあり、回復しつつある修学旅行市場を取り戻すために、教育旅行へのサポート・プログラムを充実させる。
今や海外個人旅行市場のシェアは、旅行会社、OTA・メタサーチ、サプライヤー直販の3分割状態で推移し、直販化の傾向が強まっている。
そうした中で、グアムへの日本人旅行市場の7割を握る旅行会社の存在は非常に大きい。逆に、旅行会社からすれば、デスティネーションとしてのグアムは旅行会社の「牙城」とも言うべきものだ。今年は、GVBをはじめ地元グアムと日本の旅行会社が協力して、魅力あるグアムを創出し、重要を拡大する年となることを期待する。(石原)