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2019.10.21

ツーリズムEXPOの進化系

 10月24日から「ツーリズムEXPOジャパン2019 大阪・関西」が、いよいよ開催される。初めての大阪・関西開催で、前身の旅博やそれ以前から東京開催を続けてきただけに、どういう状況になるか懸念されたが、ブースは東京開催に近い1985小間(昨年は2257小間)に達し、全47都道府県、世界100カ国・地域が出展する旅の総合イベントとして開催されることになった。
 昨年の発表段階では、「東京の7掛け」程度の規模と予想されていたが、蓋を開けてみれば出展規模は「9掛け」を超えて東京開催の93%にまで達した。日本旅行業協会(JATA)、ツーリズムEXPOジャパン推進室の営業努力とともに、大阪でのG20サミット開催、さらには2025年大阪・関西万博の開催決定など、大阪・関西に「風が吹いた」ことも大きかった。
 だが、風だけではないと思う。風は止む時もあるが、大阪・関西の風は止まない。この10年間で、大阪のステータスは上がった。「維新の会」による「大阪都構想」はまだ実現できていないが、大阪府・大阪市の改革は着実に進んでいる。
 IRについても、選定都市は決定していないが、大阪を中心に動いている。大阪府知事・大阪市長は選挙でIR誘致で選挙の審判を受けており、大阪府民・大阪市民はIR誘致を賛成多数で決めている。ここが横浜市と違うところで、大阪はいろいろな意味で、世間の耳目を集めている。
 今回のツーリズムEXPOジャパン大阪・関西では、「IRゲーミングEXPO 2019」が併催される。これまでの流れを見ていると、日本でIRの「本場」は大阪ではないか。大阪は訪日外国人誘致の目玉として、IR誘致を掲げており、ツーリズムEXPOジャパン大阪・関西にも、それは生かされている。
 観光立国政策の最大の恩恵に預かっているのは大阪だと思う。G20、大阪・関西万博決定、IR誘致促進と大阪の話題は目立つが、それもこれも、大阪が日本の訪日インバウンドの「メッカ」になっているからで、東京よりも大阪の方が訪日外国人が多いように感じられる。それは錯覚で、実際には東京の方が多いのだが、伸び率や道頓堀、黒門市場にひしめき合う外国人を見ると、大阪に訪日インバウンドはとても似合う。
 ツーリズムEXPOジャパンは、今年の大阪・関西に続き、来年は10月29日から11月1日まで沖縄開催となる。沖縄は「海洋リゾート」をテーマに、環境保護などSDGsの持続的な観光について議論を広げる。大阪・関西開催まではトラベルの色彩が濃かったが、来年の沖縄からはツーリズムの視点が強く反映される。
 同時に、B2B向けに「東京商談会」を開催する。関東を中心に日本全国の海外、国内、訪日の旅行商品造成企画担当者400名と直接商談できるアポイントメント制の商談会。展示商談会は9月10日〜11日の2日間、最大16セッションを行えるようにする。
 さて、これを受けて2021年、22年は東京開催に戻る。2年間の地方開催を経て、21年からは文字通りの「ツーリズムEXPOジャパン」を開催する。海外・訪日・国内の三位一体のトラベルからツーリズムのイベントに昇華する。
 ツーリズムEXPOの目玉ともいうべき「観光大臣会合」、「ジャパン・ツーリズム・アワード」はSDGsの持続可能の観光の具体化が大きなテーマとなろう。政治・経済・社会の中で、ツーリズムの果たす役割をもっと深堀りして議論することを期待する。
 ツーリズムEXPOジャパンの入場者数、出展者数などを気にする必要はない。東京に戻って2年、その後はどうするのか。大阪・沖縄の経験を活かして、ツーリズムEXPOジャパンを全国の主要都市で開催してはどうか。
 日本全国の旅行会社の国内・海外の企画担当者、海外からの出展者、訪日のバイヤーが札幌や福岡、仙台などの主要都市に集結して商談に花を咲かせ、B2Cは地元はもとより全国からツーリズムEXPOジャパンを楽しむイベントにする。ツーリズムEXPOジャパンで地方からの海外・国内旅行を増やし、訪日旅行者を地方へ誘客し、地方創生の起爆剤にする。IPWの日本版発展型だが、それがツーリズムEXPOジャパンの進化系なのかなと思っている。(石原)