東京都民の想い
国内の新型コロナウイルス感染者数は7月28日に、1000人一歩手前の968人と過去最多を記録した。4連休の時の人出を考えると、今後はさらに感染者数は増えそうだが、それでも政府は「第2波」との表現を29日段階では使っていない。
PCR検査人数の増加に伴い、感染者数は増加する。それは分かるが、各地にクラスターが発生して、東京だけでなく、大阪、愛知、さらに大都市、政令指定都市で感染者が拡大しているのを見ると、これは「第2波」と言わないで、何が「第2波」なのかと思う。
PCR検査人数の増加が感染拡大の最大の要因であっても、もう一方で、緊急事態宣言を解除して、経済社会活動再開へ制限を緩和しており、それも感染が拡大している要因の一つであることは疑いようがない。
西村経済再生担当大臣は言った。「(感染者数は)少しずつ増えているが、爆発的な感染には至っていない。しかし、これを減少傾向にする」と。その根拠は、感染者数が増えても、高齢者と重症者の人数が低いことにある。しかし、ここに来て重症者数が「じわじわと上がっており」、警戒感を強めている。
日本は新型コロナウイルス感染者の中で、死亡者数が他国と比べて少ない。高齢者の感染者数が抑えられていることが、その要因と考えられるが、感染者数がこの勢いで拡大すれば、高齢者も感染していく。いまはその分岐点にあると指摘する専門家もいる。
緊急事態宣言下にあっては、国民の協力で新型コロナウイルス感染症は減速傾向に入った。そこで、緊急事態宣言を解除し、経済社会活動を再開し、「感染拡大防止」と「経済社会活動」の両立を図る方向に舵を切った。
西村大臣は「経済社会活動のレベルを引き上げ、感染拡大防止と経済社会活動との両立を図る」と述べ、計画通り、Go Toトラベル事業を推進していくことを幾度も強調している。x
感染拡大防止と経済社会活動との両立を図るなら、Go Toトラベル事業から東京発着を除外すべきではなかったと思う。7月16日の東京の感染者数が当時の過去最多286人で、10万人当たりの感染者数・陽性率から、「東京の感染者数は他とは違う」として、Go Toトラベル事業から除外された。
7月28日の感染者数は東京266人、大阪155人、愛知110人。今後、大阪や大都市圏の10万人当りの感染者数や陽性率が東京除外レベルに達したらどうするのか。
都内の感染者数の拡大で、小池都知事は夏休みの外出自粛を都民に、大村愛知県知事も不要不急の行動自粛を県民に求めた。あくまで要望ベースであっても、東京都民は夏休みも都外へ出掛けられない。
感染者数・陽性者率の拡大によって、東京をGo Toトラベル事業から除外したことにより、大阪をはじめとする大都市圏が東京並みの10万人当りの感染者数・陽性者率になったらGo Toトラベル事業からの除外すべきと指摘されかねない。
赤羽大臣はGo Toトラベル事業から東京を除外した時に、「断腸の思い」と語り、「一日も早く東京対象へ、環境作りに全力を挙げる」と語った。
このままでは、東京にGo Toトラベル事業が適用されるのは、いつになるのか分からない。東京が除外されたのは、高齢者の感染者数や重症化率ではなく、10万人当たりの感染者数・陽性率が高かったからだ。
逆に、10万人当たりの感染者数・陽性率で見るなら、東京だけでなく、大阪も、愛知、福岡なが感染者数・陽性率が上がることにより、Go Toトラベル事業が除外される可能性のほうが高いかもしれない。
Go Toトラベル事業で、経済社会活動のレベルを引き上げるなら、東京を対象にすることが絶対条件だ。(石原)