ツーリズムEXPO、B2Bの課題
東京ビッグサイトで開催された第4回目のツーリズムEXPOジャパンが終わった。今年から主催者は日本旅行業協会(JATA)、日本観光振興協会に、日本政府観光局(JNTO)が加わり、文字通りの海外・国内・訪日旅行の三位一体によるイベントになった。とくに、B2Bを大幅に強化し、開幕日、業界日の9月21、22日は業界デー、23、24日は一般デーとブースは明確に別れた。
主催者発表によると、開幕日・業界日の21日は8700人、業界日の22日は4万2000人、一般日の23日は7万4000人、24日は6万6800人。全体の入場者数は前年の18万5000人を8700人上回る19万1500人に上った。
とくに、B2Bは入場者数もさることながら、商談件数が6886件と前年の2.5倍増を記録したことは強化の成果と言えよう。この商談から、どれだけ成約できるかが「本当の成果」だが、それを求める第一歩として評価したい。
実行委員長の田川博己日本旅行業協会(JATA)会長は、今年が第2ステージの1年目と位置づけ、来年までの2年間で、第2ステージの「ホップ・ステップ・ジャンプ」まで駆け上がるとしている。来年には「B2B」を定着させ、19年大阪、20年沖縄を挟んで、2021年の東京開催に向けて、はっきりとした道筋を作らなくてはならない。
22日の開幕日は石井国土交通大臣をはじめ要人トップ、そして民間イベントとしては初めて世界各国の観光大臣、民間観光組織のトップが集結した観光大臣会合の実施、さらに3年目を迎えたジャパン・ツーリズム・アワードの開催と非常に中身が濃く、質の高いイベントを印象づけた。
B2Bを強化し、B2Cもさらに維持・拡大することで、今後はメディア対応のあり方が課題に挙げられる。これだけ世界各国の観光大臣が集結したのに、残念ながらメディア発信が足りない。観光大臣スピーチ、観光大臣会合のなどのニュースは直ぐにリリースを配信しなければならない。
米国のIPWを例に取ると、登録メディアには「IPWオンライン」を通じて、その日のイベントや記者会見の内容を時々刻々配信している。それらを参考にメディアは世界中に配信する。また、IPWではセラー、バイヤー、メディアが宿泊するホテルの部屋にタブロイド判のショーニュースを早朝に届けられる。メディアに対する対応は至れり尽くせりだ。
日本では、B2Bでありながら、B2Cのイベントを報道しているようなメディアがあるが、世界のB2Bではそんなメディアはない。記者会見では厳しい意見や質問が飛び交う。今の状況では、IPWのように世界中からツーリズムのメディアが集結するのは先の話だろう。
田川会長は、B2B強化の最終型の一つとして、世界中の業界メディアが参加して、世界にツーリズムEXPOジャパンの商談会を配信することを挙げている。そのためには、B2BとB2Cの線引を改めて考えなくてはならないだろう。
22日の業界日にシンポジウム等が開催されているが、会場で主催者、出展者などの会見が必要だ。メディアにとって最も重要なものが記者会見であり、主催者会見がなかったことで発信力は弱まる。JATA、日本観光振興協会、JNTOがそれぞれが別に会見を開いても違和感はない。IPWではUSトラベルアソシエーションとブランドUSAは別々に会見を実施している。
来年の東京開催では、翌年、翌々年の会場である大阪、沖縄の記者会見を実施すべきだ。大阪と沖縄でB2Bがどうなるかはまだ未知数だが、ツーリズムEXPOジャパンの地方開催の成功は来年のアピールが鍵となるのではないか。
また、会場では顕彰事業のジャパン・ツーリズム・アワードをはじめ、出展者向けのブースグランプリ、旅行会社向けのツアーグランプリなど数々の表彰があるが、セラーとともに最も重要なバイヤーに対して、会場で表彰制度を実施したらどうか。IPWでは閉会日にバイヤーの中から無作為抽選で相当額の賞金を進呈している。日本の旅行会社も何回か当選している。そうしたことが来年以降参加のモチベーションにもなる。(石原)