【潮流】これでは「開国」と呼べない
政府は水際対策を3月1日から緩和することを正式に決定した。オミクロン株の発生を受けて、外国人の新規入国を全面的に停止した11月末からの「G7で最も厳しい水際対策」にようやく終止符を打つ。しかし、オミクロン株の市中感染がまん延し、水際対策が意味をなさないこの段階に来ても前倒しせず、当初決めた2月末にこだわる理由は何なのか。
穿った見方をすれば、水際対策の強化を決めた時の政権支持率が90%近くに跳ね上がり、それが成功モデルとなったことが背景にあるようだ。今回の水際対策の緩和も内外から「鎖国」と批判を受けて、世論の動向を気にしながら、ようやく重い腰を上げたというのが本音とも取れる。
とくに、経団連、経済同友会、新経済連盟という日本の屋台骨を支える経済界からの水際対策緩和の「大合唱」や、政権与党の自民党、公明党からも「1日も早い緩和」を急かされ、「緩和やむなし」に至ったのだろう。