【潮流】トランプ大統領、再び
今から8年前の2016年にトランプ氏が米大統領に当選した当時、米国は地方産業の衰退で不満が鬱屈し、民主党オバマ政権から「強いアメリカを取り戻す」ことを信条とするトランプ氏の登場で、経済再生を願う声は大きかった。今回の4年後の再選も期待は「地方経済」の再生ではないかと思う。民主党バイデン-ハリス政権下での経済に対する不満は、日本から見るよりも相当根深いものがあるのだろう。
8年前に大方の予想を覆して、トランプ大統領が当選した時、日本に対して「防衛」では費用負担増、「自動車」では関税拡大などが懸念されていた。しかし、防衛での日本に対する経費負担の増大は、政治的なことよりも、米国の戦闘機を「丸ごと」購入すること、自動車では米国内に工場を建設することなど、米国の経済最優先をはっきり打ち出した実利を求めてきた。「強いアメリカを取り戻す」の意味は、「強い米国経済を取り戻す」ことにあった。
トランプ氏の大統領再選によって日本製鉄のUSスティール買収問題が話題になっているが、買収によって米国経済にどのような恩恵をもたらすかが重要で、「基幹産業」の買収による感情論よりも、米国内の雇用の創出、経済波及効果などが焦点になるような気がする。