【潮流】中国観光は回復できるか
中国政府は11月30日から日本を含む9カ国に対して、30日以内の短期滞在者に入国ビザの免除措置を実施した。2000年代半ばまでは、日本から中国への旅行者はビジネス、観光含めて最も多かった。中国にとっては「観光」の最大の顧客は日本だった。しかし、日中間の政治的問題、中国の経済成長、日本経済の低迷などの複合的な要因で、日本から中国への旅行者が減少する一方で、中国からの訪日旅行者は急速に拡大し、コロナ前は日本にとって中国が「観光」の最大の顧客となった。
それがコロナ禍で、中国からの訪日旅行者は中国側の厳しい規制もあり、他国と比べて回復率が低かったが、現在ではコロナ前の8割方回復しており、韓国に次ぐ訪問者数となっている。その一方で、日本からの訪中旅行者は今も激減しており、とくに観光目的の旅行需要は冷え込んでいる。
中国経済が減速している状況下でのビザ免除措置は、観光・ビジネス交流を再活性化するための重要な政策となる。日本が中国にとって主要な観光客の送り出し国であったことを考えると、日本を含む観光客の増加が中国国内の消費や観光地の経済復興に直接的な貢献をすると判断したのだろう。