【潮流】年末年始にみる海外旅行回復の課題
年末年始の旅行各社の旅行動向や予約状況によると、海外旅行者数が増加基調にある一方で、新型コロナウイルス感染拡大前の水準には大きく及ばない現状を示している。とくに、円安や海外の物価高の影響により、旅行先や旅行期間が限定されるなど、回復には課題が残る。
JTBは旅行動向見通しで、年末年始の海外旅行者数は前年から13.0%増加し、52万人に達すると予測している。しかし、2019年の水準に比較すると回復率は62.9%にとどまり、コロナ禍以前の需要には依然として届かない。とくに、旅行費用の高騰と円安が消費者心理に影響を与え、短期かつ近距離の旅行が主流だ。韓国や台湾の近隣アジア諸国が最も人気の旅行先で、旅行日数も3泊4日が主流であることは変わらない。
一方で、一定数の旅行者がハワイやヨーロッパ、オーストラリアなどの遠方の目的地を選択しており、旅行費用の二極化が進行している。これらの地域への旅行者は、旅行日数を長めに設定し、より贅沢な体験を求める傾向が強い。阪急交通社の調査では、フランスやイタリアなどのヨーロッパ、さらにエジプトが高い人気を示し、とくにエジプトは前年比で2倍の予約数を記録している。