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2019.02.26

WING

JAL、国際線強化で設備投資400億円積み増し

特別成長投資枠500億円のうち中長距離LCCに230億円

 日本航空(JAL)は2月25日、「中期経営計画ローリングプラン2019」を発表した。このなかでJALは2018年度-20年度の3カ年の設備投資計画として、前計画(2018‐2020)対比で400億円積み増しした総額7000億円にまで引き上げる計画を明らかにした。これは主として国際線の供給拡大に向けた航空機への投資。中距離LCCとして設立準備を進めている準備会社T.B.Lに787型機を2機移管することにあわせて、新たにより大きな機材の導入を進める方針にあるほか、将来する航空機の支払い時期の一部前倒しなどに向けて400億円を積み増しした。400億円のうち、300億円が国際線供給拡大に、残りの100億円を機材導入時期の変更に充当する。
 ちなみにJALは7000億円の設備投資計画に加えて、成長を目指すための特別成長投資枠500億円を設けており、この500億円のうち230億円を中長距離LCCの設立準備に充当する計画で、機材および資本といった立ち上げに必要な資金にすることを見込む。
 国際線座席供給量の拡充に向けて400億円の設備投資積み増しに踏み切るJALだが、2018年度末の総機材予定数は231機。このうち国際線が89機、国内線は142機。19年度には国際線が90機、中長距離LCCが2機、そして国内線144機の計236機体制となることを見込む。計画最終年度となる2020年度には、国際線92機、中長距離LCCが2機、そして国内線は142機の合計236機体制へとフリートが拡大する見込みだ。
 こうしたなかASKの伸びについては17年度実績を「100」とすると、20年度には国際線が25%増(中長距離LCC除く:22%増)に、国内線は5%増加となり、国際線・国内線の平均は中長距離LCCを含めると17%増に、中長距離LCCを除いた場合、15%増加する見込みだ。
 機材の増加に比べてASKの伸びが大きいことについて、JALの斎藤典和取締役(財務・経理本部長)は「既存の787型機および777型機について、ビジネスクラスとエコノミークラスの座席数を見直して座席数を増加して供給量を増やす」ことを明かした。
 「787型機では既に186席の機材を206席にしたり、777型機でも236席の仕様だった機材を312席にするなど、アジア路線などの需要と供給をマッチするような改修を進めている」としており、「2020年度に改修が終了すれば、機材の稼働率も上昇することから、ASKが伸びてくる」との見通しを示した。
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※写真1=スピード感を持って中期目標達成を目指すという赤坂社長

※写真2=需要と供給がマッチするよう、機材の改修を進めると話す斎藤典和取締役

※写真3=西尾本部長は20年度の営業利益目標について、不確定要素が多いため19年度据置の1800億円と説明した