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2018.04.23

ウイングトラベル

エジプト・トルコ回復、チュニジアは造成本格化へ

JOTC、「中近東復活緊急フォーラム」開催

 日本旅行業協会(JATA)のアウトバウンド促進協議会(JOTC)は4月20日、「中近東復活緊急フォーラム」を開催し、エジプト、チュニジア、トルコの3カ国の完全回復に向けて、オンシーズンの下期に向けた商品造成・販売を積極化するよう旅行各社に呼びかけた。このうち、エジプトとトルコは順調な回復軌道にあり、とくにトルコはこのまま行けば年間6万人超、JATAが目標にする10万人も視野に入るところまで上昇基調にあるほか、チュニジアは今年2月に危険情報が引き下げられ、いよいよツアーの造成販売が本格化されることから、今後の成長が期待される。
 緊急フォーラムの冒頭挨拶した菊間潤吾JOTC会長は、「インバウンド需要の急増で、アウトバウンド用の座席確保が厳しい中、中近東方面はトルコ航空、エジプト航空を含めて週55便と手厚い座席供給がある。その多くは欧州への乗り継ぎで埋まっているが、願わくば中近東へのツアーで埋めたいのが本音だ」とした上で、「席数もまだまだありそうなところを積極的に展開することが、海外旅行者2000万人達成には必要」だとして、中近東方面の需要回復とさらなる拡大が不可欠と強調した。
 JATAは先にトルコにハイレベルミッションを派遣して実地視察も行ったが、「大変安全な環境が整いつつある」として、トルコ、エジプト、チュニジアの3カ国は、業界挙げた送客拡大に取り組むのに機が熟したとの見解を表明。「下期から存分な品揃えで中近東を復活させたい」と意気込みを示した。

 チュニジア、2月に一部地域をレベル1引き下げ
 アレキサンドリア-カイロ間の陸路引下げ要望

 フォーラムではまず、外務省領事局海外邦人安全課の松前了邦人援護官が中近東や北アフリカの治安情勢などについて説明した。
 このうちトルコは、17年1月以降は大きなテロ事件は発生しておらず、治安情勢は落ち着いており、トルコ全土で渡航情報の出ていないエリアが多く、イスタンブールやアンカラはレベル1、カッパドキアやイズミールを含めて観光できる状況にあると説明した。
 エジプトは、14年6月にエルシーシ大統領の就任以降は安全対策が強化され、治安は保たれているとして、カイロ、ギザ、ルクソール、アスワン、アブシンベルなどの主要観光地はレベル1、アレキサンドリアも今年2月にレベル1に引き下げられた。ただ、カイロとアレキサンドリアを結ぶ幹線道路は渡航情報が下げられておらず、質疑応答では早期の引き下げを求める声も出た。
 チュニジアは、今年2月に首都チュニスを含む一部地域をレベル1に引き下げた。アラブの春の先駆け的な地域だが、G7などの支援もあり、治安は保たれており、16年3月以降は大きなテロは発生していないことから、3年ぶりに渡航情報が引き下げられた。
 質疑応答では、渡航情報のレベルの下げ方、判断についての質問が出たが、「外務省としては、中長期的かつ総合的に判断して決める」と説明した。出席者からは、欧米諸国が下がると日本も下がる傾向にあるなどとして、それも含めて総合判断なのではないかとの指摘もあった。

 3カ国の大使館関係者も参加、日本市場に期待

 緊急フォーラムには、エジプト大使館のタメール マムドゥーフ参事官、チュニジア大使館のモハメド トゥカブリ一等書記官、トルコ大使館のアリ カラクシュ参事官も駆けつけ、日本市場に対する期待感が示された。
 エジプト大使館のタメール マムドゥーフ参事官は、「エジプトにとって、日本は常に最重要市場の一つ」だと強調、2017年にエジプトを訪れた日本人旅行者は前年比75.5%増の3万2743人まで回復したが、「今回のフォーラムを契機にもっと多くの日本人に来てほしい」と期待した。
 チュニジア大使館のモハメド トゥカブリ一等書記官は、「チュニジアにとって観光産業は最も重要な産業のひとつ」として、安全対策を徹底、欧州を中心にチュニジアへの観光客は戻りつつある状況を説明し、日本からの旅行誘致に力を入れたいと意欲を示した。
 トルコ大使館のアリ カラクシュ参事官は、「日本市場は旅行会社からの誘客が重要であり、日本の旅行業界の協力に感謝している」とした上で、これからも緊密に連携し、トルコへの需要をさらに伸ばしていきたいと意欲を示した。そのためには日本からのアクセス拡充も重要とした。

 

※写真=左から、JOTC菊間潤吾会長、外務省領事局海外邦人安全課 松前了法人援護官、エジプト大使館タメール・マムドゥーフ参事官、チュニジア大使館モハメド・トゥカブリ一等書記官、トルコ大使館アリ・カラクシュ参事官