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JAL中長距離LCC、20年夏ダイヤに成田-バンコクと仁川線に
社名は「ジップエアトーキョー」、国交省に事業許可申請
日本航空(JAL)は3月8日、2020年夏ダイヤ就航に向けて検討を進めてきた中長距離LCCの社名を、「ZIPAIR Tokyo」(ジップエア トーキョー:ジップエア)に決定したことを発表した。同社の西田真吾社長は同日、国土交通省に対して、航空運送事業の許可申請を行ったことを明かした。この許可申請にあたってジップエアは、2020年夏ダイヤに787-8型機を2機投入して、まずは成田-バンコク(スワンナプーム)線に就航することを皮切りに、成田-仁川線に就航することを申請した。当初はそれぞれ1日1往復便で就航する。
ジップエアの西田真吾社長によれば、「東京オリンピック・パラリンピック大会前には就航することを目指す」考えで、2020年夏ダイヤのできるだけ早いうちに就航することを目指す方針だ。
中長距離LCCという看板を掲げてスタートするジップエアだが、蓋をあけてみれば、バンコク線こそ飛行時間6-7時間の中距離路線だが、仁川線は近距離国際線。それだけにやや拍子抜けした感は否めない。成田-バンコク線はフルサービスキャリアが多数就航する路線で、フルサービスキャリアなどとの競争は避けられそうにないことに加えて、タイ・エアアジアX、スクートといったライバルたちがひしめいている路線だ。
一方の成田-仁川線といえば、日系フルサービスキャリアこそ運休しているが、日韓双方のLCCが多数就航する路線。過去にはバニラエアらLCCにおいても路線採算性が厳しい事情もあって撤退を余儀なくされるケースが見受けられるなど、チケットの安売り競争が懸念される路線だ。いずれにしても両線ともに超激戦路線といえよう。
これからスタートするジップエアにJALの赤坂祐二社長は「就航2年後の黒字化」という宿題を課している。一方で中長距離LCCというカテゴリーは、米国のサウスウェスト航空に端を発する、いわゆる多頻度短距離運航というLCC原理主義的なビジネスモデルとは一線を画すことから、欧米などの先行事例をみても成功例はないといわれるほど難しいビジネスモデルだ。
この難しい中長距離LCCモデルで、しかもこれらの激戦路線においてジップエアが如何に勝ち抜いていくのか。同社を率いる西田社長を筆頭とした、ジップエア首脳陣の手腕が問われそうだ。
超激戦区バンコクと仁川を選んだ理由は?
如何に稼ぐか注目されるビジネスモデル
BtoBビジネスに光?西田社長の視線の先は
フリート拡大は年2機ずつ
3号機以降の調達方法は未定
ロゴマーク、従来にはない自由な発想で
※写真1=JALが計画してきた中長距離LCCを「ZIPAIR Tokyo」(ジップエア トーキョー:ジップエア)に命名したという同LCCの西田真吾社長
※写真2=名前の由来はフライトの体感時間が短いことを表現した