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2019.03.19

WING

エアバスヘリ日本、ルプランス社長「防衛市場で力を」

「次世代PBL提案」などサポート強化、新社長の手腕は如何に?
 今年1月に、エアバス・ヘリコプターズ・ジャパンの社長に就任したギヨム・ルプランス社長が本紙の取材に応じて、「エアバス・グループとして日本市場に注力している」としながら、「とくに防衛市場において力を付けていきたい」と話し、日本の防衛ヘリコプター・マーケットをさらに開拓することを目指す方針を示した。
 エアバス・ヘリコプターズは、日本市場で確たる存在感を放っている。そのマーケットシェアは実に50%超。日本市場は成熟市場であるとはいえ、欧米の他ヘリコプターメーカーがこの市場に注目するなか、長きに亘り圧倒的な「強さ」を持つ。ただ、一方で欧州を本拠とするエアバス・グループにとって、日本の防衛市場は日米同盟という巨壁が横たわることから、依然難しい市場だ。そうしたなかでも、エアバス・ヘリコプターズは、少しずつこの難しい市場を開拓することに成功してきた。既に海上自衛隊のTH135や陸上自衛隊のH225といった機体が運用中だ。さらには日欧の防衛関係の深化という追い風も吹いている。新たに社長に就任したルプランス社長の手腕が、日本市場におけるエアバス・ヘリコプターズを更なる成功へと導いていく。
 ルプランス社長は就任の抱負として、「50%というマーケットシェアを長期に亘り持続していきたい」とコメント。「(過半数を超えるマーケットシェアを維持しながら)日本を代表するOEMとして、引き続きビジネスを展開していく」とし、「この立場を確保するためにお客様に引き続きフルサポートを提供することによって、日本の空に高品質および安全を確保していきたい」と話した。
 ルプランス社長が今後の成長の柱の一つに挙げた防衛市場の成長に向けて、「防衛省に対してソリューションを提案しており、すでに海上自衛隊、陸上自衛隊に対して、アフターサービスによるサポートを展開しているところ」とコメント。海上自衛隊、陸上自衛隊に提供しているパフォーマンス・ベースド・ロジスティクス(PBL)の成果もあってエアバス・ヘリコプターズ製の機体稼働率は上昇しているとのことで、「海上自衛隊、陸上自衛隊から、とても良いフィードバックを頂いている」様相だ。
 エアバス・ヘリコプターズとしてはこの成功に胡座をかくこと無く、「お客様の稼働率向上に向けて、現在は何が障害になっているのかということをリサーチして、解決策を提案するようにしている」とのこと。加えて、「新しい世代のPBLについて、何を盛り込むべきなのか提案している」ことを明かした。
 この次世代のPBLについては「これまで要求項目に含まれていなかったため、今日のPBLにはエンジンが含まれていない」とし、「将来的にエンジンを盛り込むことのほか、トレーニングについても、インストラクターパイロットのトレーニング提供などを提案している」ことを明らかにした。
 ルプランス社長は「我々の目的は、お客様がオペレーションに注力することができるようにすること」としており、「お客様がミッション以外のことに力を割かなくても良いようにすることで、お客様がミッションに力の全てを注ぎ込むことができるようにしたい」と話した。

 

ライバル達の日本市場強化
市場リーダーとして如何に迎え撃つか

 

神戸事業所拡張で顧客サポート強化
H160対応やアジアエンジニアリングセンターに

 

VSR700プロジェクトが進行中
空飛ぶクルマも共同開発視野か

 

将来のヘリコプターに対する日本顧客の要求は
稼働率向上や低コスト要求強く

 

年率2%成長の日本市場
EMSや警察など成長牽引

 

※写真=エアバス・ヘリコプターズ・ジャパンの社長に就任したギヨム・ルプランス社長(提供:エアバス・ヘリコプターズ)

※写真=神戸事業所が拡張しエアバス・ヘリコプターズ・ジャパンは日本市場で更にプレゼンスを拡大する(提供:エアバス・ヘリコプターズ)

※写真=開発中のH160。神戸事業所にもH160対応の設備が導入される予定だ(提供:エアバス・ヘリコプターズ)