WING
川崎重工、新低速風洞が岐阜に竣工
低騒音化で空力騒音低減にも寄与
川崎重工は3月28日、岐阜工場に建設中だった航空機研究開発用の新低速風洞が竣工したことを発表した。風洞メーカーとしての実績も多い同社では、旧低速風洞に比べて大型化することで模型を大型化して試験精度を向上できるほか、送風機などを低騒音化して模型の風切音の計測も可能としたため、航空機の機体から発生する空力騒音の低減に寄与するとしている。
旧低速風洞は戦争中の三式戦「飛燕」以来、BK117ヘリコプター、T-4練習機、P-1哨戒機/C-2輸送機に至るまで、川崎重工が開発した各航空機の開発に使用されてきた。その老朽化により更新のため自社で設計・製作・建設した新低速風洞は測定部の大きさが3メートル四方と旧風洞の2.5メートル四方より大きく、より大きな縮尺模型を使える。設備全体の大きさも全長90メートル、幅50メートルと旧風洞の長さ50メートル、幅25メートル大型化し、最大風速が秒速100メートルと旧風洞の65メートルより早くなり、実機の離着陸速度に近い風速を実現している。これらにより、より精度の高い試験が可能となった。
※写真=新低速風洞の全景(提供:川崎重工)
※写真=風洞模型がセットされた測定部(提供:川崎重工)