記事検索はこちらで→
2018.05.07

ウイングトラベル

★大阪で初の「関西IRショーケース」盛大に開催

世界的IR事業6社が出展、商談と理解の場に

 大阪で世界的なIR事業会社6社が一堂に会する第1回の「関西IRショーケース」が4月27日、28日に開催され、カジノだけでない統合型リゾートIRの魅力をアピールするとともに、IR6社を含むMICE関連企業23社が出店し、初めてのIR・MICE商談会が行われた。同イベントではVR(仮想現実)でIRを疑似体験できる展示など、一般日にはIRに対する正しい理解を深めた。
 来場者数は2日間合計9380名。業界日の4月27日は5506名、一般日の4月28日は3874名が参加。4月27日に政府がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備法案を閣議決定したことを受けて、関心の高さを伺わせた。会場は大阪市梅田のグランフロン大阪北館のナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター。
 開会式では、松井一郎大阪府知事が「本日、政府がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の実施(整備)法案を可決しした。10年前に前任の橋本知事が大阪の発展をめざして世界のエンターティメントの拠点として世界から大阪にお客様を呼ぼうとしてから今日まで、本当に長かった思いがする。10年前は、IRを呼ぼうなんて基本法すらなく夢物語だった。現在国会は混乱しているが、きっと可決するものと思っている。今日ここにお集まりの方たちは、IRは決してカジノだけではないと言うことを知って皆さんに伝えていただきたい」と熱く語った。
 また、吉村洋文大阪市長は、「今まで大阪の湾岸エリアは港湾事業が中心だったが、世界で成長している都市は湾岸エリアが一番発達しており、まだ大阪は不十分。今回(IR建設を)計画している夢洲は広大な人工島で、甲子園球場100個分の敷地を有しており、しかも住民が一人もいない。ここに世界的な規模を超えたIRがぜひできることを期待している。一方で、IRのことをまだ大阪市民をはじめ日本人は良く知らないので、ぜひ今回のフェアで知ってもらうことを期待する」と述べた。
 テープカットには主催者で大会委員長の堀正人トレードショーオーガナイザーズ代表執行役社長、松井大阪府知事、吉村大阪市長、溝畑宏大阪府・大阪市IR推進会議座長とともに、出展のIR事業者6社の代表者が並んだ。
 この日のために出席したIR事業者はそれぞれ個性ある展示を展開した。シーザーズエンターテイメント(米国)は社長・国際開発担当のスティーブン・タイト氏が出席し、ブースではギャンブル依存症に関する冊子を配布した。
 ギャラクシー・エンターテインメント・グループ(香港)は日本代表の伊佐幸夫氏が出席。ブースでは、提携先のモナコの高級リゾートの映像を放映した。
 ゲンティン・シンガポールは代表取締役社長のタン・ヒーテック氏が出席した。
 メルコリゾーツ&エンターテインメント(香港)は、エグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高財務責任者(CFO)で、同社ジャパン代表取締役最高責任者(CEO)のジェフリー・デイビス氏が出席。マカオで今夏開業するホテルのVR体験を展示した。
 合同会社日本MGMリゾーツ(米国)は、代表執行役員兼CEOのエド・バワーズ氏が出席、大阪のIR誘致予定地でのイメージ図を展示した。
 ラスベガス・サンズ社(米国)はグローバル開発マネージング・ダイレクター・マリーナベイ・サンズ社代表執行役兼CEOのジョージ・タナシェヴィッチ氏が出席。大画面にIR施設の映像を放映した。
 囲み取材に応じたメルコリゾーツのジェフリー・デイビス氏は、「日本政府の要求する様々なハードルは高いが、これを乗り越えていかなければならない。日本ではまだIRすなわちカジノというイメージが強いが、今後は日本でエンターティメントに関するプロモーションを実施して、本当のIRを知っていただく活動をしていく。実際の建設に多額の資金を必要とするが、中国、アジア諸国からも近く、関西空港からも近い大阪であれば、十分投資の回収が見込まれる」と自信を示した。
 また、日本MGMリゾーツのエド・バワーズ氏は、「日本はアジアで(IRのない)残っている国の中で、歴史と伝統もあり最も有望なマーケット。その中で大阪の有利な点は、行政はじめ多くの企業のパートナーシップが期待されるから。カジノの面積は、全体のたった3%であり、残りはエンターテイメントとMICEが占める。日本人はIRすなわちカジノと思われがちだが、決してそうではない。ただ収入でカジノが全体の75%を稼ぐ。日本政府はカジノに30%の税金を検討しているが、今後インフラ整備に1000億円掛かることなど、コストを見ながら交渉していきたい。また、大阪市は地下鉄の延伸工事に100億円が必要でこれもお客様に気軽に来ていただくためにはぜひとも必要なものであり、検討事項であると認識している」と述べ、IRに対する将来性と課題を指摘した。
 同イベントでは、元大阪府知事・前大阪市長の橋下徹氏が「IRと大阪・関西の未来」、溝畑宏氏が「IRは観光産業の発展にどう寄与するか?」、大阪府・大阪市IR推進会議座長代理、大阪商大学長の谷岡一郎氏が「IRにおける高度人材の育成及びその課題」について講演し、関西の将来と観光産業の発展に向けてIRの必要性を訴えた。

 

※写真=行政、観光関係者、IR事業者によるテープカット

 

※写真=基調講演する橋下徹氏

 

※写真=挨拶する松井一郎大阪府知事

 

※写真=挨拶する吉村洋文大阪市長

 

※写真=メルコリゾーツジャパンのジェフリー・デイビスCEO

 

※写真=日本MGMリゾーツのエド・バワーズ代表執行役員兼CEO

 

※写真=「関西IRショーケース」の展示風景