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ボーイングT-X、日本含めた諸外国へ将来売り込み?
T-38後継で米空軍、大量351機を調達
ボーイングはスウェーデンのサーブをリスク・シェアリング・パートナーとして、共同で米空軍向け高等ジェット練習機「T‐X」を開発中だ。ボーイング防衛・宇宙・安全保障部門T-Xプログラム・インテグレーション担当シニア・ディレクターのテッド・トーガソン氏が本紙らの取材に応じて、「米空軍が主要な顧客ではあるが、最終的に輸出許可などが出れば、対話をしている各国に対して提案することができる」としており、ボーイングとしてはいずれ、日本を含めた諸外国に対する「T-X」輸出のセールス活動が本格化させていきたい考えだ。
ボーイングとサーブは昨年9月、米空軍から計351機の受注を獲得したほか、46台のシミュレーターおよび関連地上機材を含め、総額96億ドルもの超大型受注を獲得することに成功した。米空軍はT‐38の後継機としてT-Xを投入することを計画しており、F-35、F‐22、そしてB-21などといった機体を操縦するためのパイロット養成に投入することになる。
「T-X」は現在、「米空軍との間でEMDフェーズ(エンジン・マニファクチャリング・デザイン:試作開発製造フェーズ)にあって、細部に亘る要求項目に合致しているのかということを、当初提案した機体から作り込み作業を行っている段階」にあるとのこと。最終的に設計項目が満たされれば、空軍の運用試験などを経て、いよいよ量産段階へと進むことになる。このボーイング幹部によれば、「2023年末にはランドルフ空軍基地に5機を納入する」計画で、機体とあわせて地上訓練機材(シミュレーター)も米空軍に納入していくことになる。
様々な運用者ニーズを拾って作りこんだT-X
実績持つ既存機とのコンペに勝利した理由
機体設計と地上訓練機材開発を緊密連携
地上の充実したシミュレータ訓練実施で大空へ
最前線の現場の意見汲みとった整備性
従来手法壊す量産手法で低コスト化
米空軍が1兆円のコスト削減に成功と評価
※写真=様々な工夫を凝らしたT-X。性能はもとより整備性、量産性などを追求した(提供:ボーイング)