WING
IHI、19年度は航空・宇宙・防衛事業が業績底に
売上急増のPW1100G、コストダウンが追いつかず悪化
IHIは去る5月20日に事業領域説明会を開催し、航空・宇宙・防衛事業領域ではPW1100Gエンジンのコストダウンが進まないうちに、売上が急増し、さらに直近の素材高騰もあったとして、同事業の影響で業績の底が2019年度となることを明らかにした。
2016年度に策定した「グループ経営方針2016」では、このPW1100Gのコストダウンが進まないうちに売上が伸びることを予想して、業績の底を2016年度から2017年度と見込んでいた。しかし、PW1100Gは初期トラブル等の影響で売上が予想程伸びず、結果としては2017、2018年度と営業利益が増加した。その中で、世界的なPW1100G需要拡大の影響での素材高騰、さらに生産性向上の未達の影響が2019年度以降に現れ、業績の底がズレるかたちとなった。
2021年度売上目標は4900億円
防需減少は民需でカバー、営業利益増図る
今回発表した「グループ経営方針2019」(2019~2021年度)では、今後の業績見通しとして、2019年度はGE9XやPW1100Gの量産初期負担により一時的に利益率が減少するが、2020年度にはGE9Xの量産開始が予定され、既存エンジンのスペアパーツ売上が安定的に推移し、PW1100Gのアフターサービスも本格化するタイミングであり、利益率は向上するとしている。一方、防衛(エンジン)事業はP-1哨戒機の調達機数減でF7エンジンの納入機数減、将来戦闘機用エンジンも試作が終わるなどから売上高が減少する。その対応は民間エンジン事業、民間整備事業の徹底的なコストダウンの推進で利益率のリカバリーを図っていくとしている。
2021年度の売上高目標は4900億円と、2018年度実績4922億円と同程度を掲げた。民間エンジンの売上は増加しているので、防衛関係の減少が響いている形で、その中で営業利益の増大を図ることが目標となる。
2018年度の事業領域の売上比率は航空エンジンが85.5%、ロケットシステム・宇宙利用が11.6%、防衛機器システム(エンジン以外)が2.9%という。質疑応答の中で、売上の3分の2が民間、防衛が2割、その他が子会社売上という数字も示した。
3カ年方針で強靭な品質保証体制の確立、維持掲げる
防衛需要では将来戦闘機用エンジンに期待
※写真=急激な生産立ち上がりが業績に影響を及ぼしているPW1100Gエンジン