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2019.05.29

WING

エアバス、IoTで座席やビン状況を瞬時に把握

“繋がる”技術で更なる効率オペレーション実現へ

 欧州の航空機メーカーであるエアバスは、IoT技術を活用した次世代の機内客室プロダクトを開発中だ。エアバスがビッグデータ活用で打ち出した「スカイワイズ」(Skywise)の一環でもあるこの取り組みは、IoTプラットフォームを用いることで座席や頭上のオーバーヘッドビン、ラバトリー、ギャレー、さらにはカーゴなど、様々な機内装備を”繋ぐ”もの。その取り組みの一環として開発中の座席へのIoT適用では、離着陸時における各座席のシートポジションやベルトの着用など、各座席の状態を客室乗務員がタブレット端末で容易に把握することができるようにすることを目指す。この座席システムは既にデモンストレーションモデルが開発されており、早ければ年内にも飛行実証を開始する予定にあるなど、その開発はスピードは速い。
 エアバスはこうしたシステムIoTを使ったシステムの開発に取り組むことで、航空会社の効率的な航空機のオペレーションに寄与し、結果的に利用者である旅客の快適性向上にも繋げていきたい狙いだ。

 

IoT適用の座席システム、21年実用化
今年中に飛行試験も計画中

 

 離着陸時などには機内アナウンスはもとより、客室乗務員が機内を歩き回ってシートポジションを元の位置に戻すことやシートベルトの着用を旅客に促す姿を必ずみかける。気流の乱れた空域では、シートベルトの着用サインが点灯しているにも関わらず、中にはシートベルトを着用することを失念している旅客がおり、客室乗務員がベルトを着用するよることを求める姿も目にする機会も少なくないだろう。ただでさえ離着陸時前の準備は慌ただしいなか、客室乗務員は全席の状況を個別に見回らなければならず、負担は大きい。
 そうしたなかエアバスが開発に取り組んでいるシステムは、IoTを使って各座席のデータを収集する。収集したデータをベースに、シートのリクライニング、アームレスト、レッグレスト、ベルト着用状態など、座席の使用状況を把握して、客室乗務員が手元の端末でモニタリングすることを可能にする。

 


ビン内部の荷物収納状況を可視化
効率的な搭乗や定時性確保に寄与

 

※写真=各座席をIoTで繋げることでリクライングやベルト着用状況を客室乗務員が保有する端末で把握することができる

※写真=オーバーヘッドビンもIoTで”繋がる”。ビン使用状況を機内・地上双方で把握することができ、定時運航などに貢献する

※写真=ギャレーもIoTによって故障診断予測や内部の状況把握をできるようにしてケータリングの効率化を図ることができるようにする