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高耐熱CFRPモータケース研究試作を契約
IHIエアロスペースが14億1912万円で受注
防衛装備庁は去る3月、2018年度予算による「高耐熱CFRPモータケースの研究試作」一式について14億1912万円でIHIエアロスペースと契約した。これはミサイルの長射程化を図るための固体ロケットモータの性能向上に資する技術の確立を目指すもので、日米共同研究のテーマともなっている。防衛装備庁では金属製モータケースより軽量のCFRP(炭素繊維複合材)モータケースの実用化を達成しているが、耐熱性の点では金属製ケースに比べ半分程度であり、長時間高温に晒される長射程化への適用のネックになっていた。現在の技術ではCFRPケースの外側と内側に断熱材を貼ることで、軽量化の利点が損なわれる。
そのため、高耐熱性樹脂技術と高耐熱性樹脂硬化技術を確立すべく、米空軍研究所との共同研究を行うことにした。樹脂そのものについては米側から提供を受け、日本側は主に硬化技術の研究を強化する。防衛装備庁は既に、固体燃料をモータケースに流し込む在来工法と異なる、直巻(じかまき)フィラメントワインディング方式マルチセグメントモータケースの製造技術を確立している。これは固体燃料を燃焼に最適な形状に成形し、2段燃焼式などのマルチセグメント化も完成させた後に、外側に炭素繊維を巻き付け、これに樹脂を含浸硬化させることでモータケースを形成するという日本独自の方法だ。