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2019.06.03

WING

NAA松本取締役、羽田米12枠仮決定は「想定内」

DAL路線などシフト可能性大、羽田・成田運航要求へ

 成田国際空港会社(NAA)の松本大樹取締役は5月31日の定例会見で、米運輸省(USDOT)が去る5月16日に発表した羽田空港の増枠仮配分について、仮決定した12枠が「率直に言って、大体想定していた範囲」だったと説明。成田へ整備場など多くの投資を行っているデルタ航空(DAL)は、米航空4社中最も多い羽田の6枠を要求していて、かなりの配分が為されることを想定していたという。DALの5路線5枠はすべて成田と重なるが、こうした重複路線については「シフトの可能性はかなり高い」と見ていて、今後航空会社に対して羽田と成田の両方で飛ばすように働きかけていく考えを示した。
 USDOTの羽田増枠12枠分の仮配分では、DALの枠をシアトル、デトロイト、アトランタ、ポートランド、ホノルル線の5路線5枠としたほか、ユナイテッド航空(UAL)にニューアーク、シカゴ、ワシントン・ダレス、ロサンゼルスの4路線4枠、アメリカン航空(AAL)にダラス/フォートワース、ロサンゼルス線の2路線2枠、ハワイアン航空(HAL)にホノルル線の1路線1枠とそれぞれ仮決定したところ。
 これに松本取締役は、この度の仮配分について「米国のキャリアの立場に立って羽田・成田のネットワークを想定してみると、相場観としてそのとおりに収まっている」と、特段驚きはなかったという。その上で、羽田の国際線発着枠拡大が国策として行われているものの「競争の部分はあって、(成田は)羽田に負けないネットワークをより広げていかなければいけない」と強調した。
 NAAとしては、仮配分を受けた米航空4社の反応について、もちろん羽田へシフトしていく路線が多いながらも「羽田に新路線を置いて成田を残す路線もある。ペンディングして決めきれていないものもある」とのこと。そうした路線については「シフトではなく両方で飛ばすようにエアラインに働きかけていく」との考えを示した。
 また羽田の増枠は、米国枠のほかに26枠が残っている。その発着枠の配分は未だ見えてこないが、そこでも少なからず成田重複路線が出てくる想定だ。米国以外の路線でもできる限り、羽田・成田の両方を利用するよう航空会社呼びかけつつ、減少する発着を「取り返していく」考えだ。さらに「新しい地点へネットワークを充実させていく」と述べて、新規開拓に力を入れて行く意向を示した。
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