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シコルスキー、米大統領専用ヘリの量産初度受注
2021年からVH-92Aを6機納入開始、総計23機導入
シコルスキーは6月10日、米海軍より6機からなるVH-92A大統領専用ヘリコプターの低率初度量産(LRIP)ロット1契約を受注したことを明らかにした。これは米海兵隊が運用することになる23機のVH-92Aの一部。シコルスキーは2021年より今回受注の6機の引き渡しを開始する予定。その他のVH-92Aは2022年から2023年までに、スペア部品、訓練支援とともに納入される見込み。
今回の契約は5月30日に米海軍が開発から量産への移行を認めるマイルストーンC決定を行ったことを受けてのもの。
高度な通信能力を付加
シコルスキーと米海軍はミッション・システムおよび通信システムの機体への統合を成熟化したとしており、この航空機は軍の最高指揮官、国家元首であり政府トップの任務を完遂できる通信能力を持つという。
VH-92Aの試験機による、厳格な米政府の試験・運用評価の実施の結果、量産準備は実証された。試験・運用評価には、メリーランド州パタクセントリバー基地における、ホワイトハウス(大統領官邸)の南側芝生からの運用が含まれている。
試験機による飛行試験は520時間に及び、航空機の技術的な成熟とミッション・システムの運用準備態勢を確立したことになる。これにより、VH-92Aは安全性、信頼性、そして大統領、副大統領、外国国家元首など最高級要人の輸送能力を示したとしている。
民間ヘリとして実績あるS-92がベース
この大統領専用ヘリコプター開発計画は、FAA(米連邦航空局)が認証した最新の信頼性と可用性を持つS-92ヘリコプターを母機としたことで、長期的な調達可能性と整備性を確かなものとしている。シコルスキーによると、S-92フリートは今年4月現在で総飛行時間が150万時間、月当たり平均1万4600時間の安全飛行を行っている。
最初の訓練システムも納入済み
老朽機や中型機の運用余儀なくされる
過去に別の開発計画の失敗で
※写真=2018年11月にホワイトハウス南芝生での離着陸を含む運用試験を完了したVH-92A(提供:米海兵隊)