ウイングトラベル
JAL株主総会、株主1149名、飲酒問題で紛糾
赤坂社長が飲酒事案謝罪、本質的な課題抽出
日本航空(JAL)の第70期定時株主総会が6月18日に都内で開かれ、株主1149名が参加した。質問者数は12名で、時間は2時間51分だった。株主の多くは、去年から続けて発生した飲酒事案に関心を持って、経営陣へ今後の対策や再発防止などについて、質問を投げかけた。
上がらない株価も「要因の一つ」と認識
議長を務めた赤坂祐二社長は冒頭、グループ含め連続して発生した、乗員による飲酒の不適切事案について「株主の皆さま、お客さま、社会の皆さまの信頼を損なう事態を招いたことを心よりお詫び申し上げる」と述べて謝罪。再発防止策の着実な実行と、本質的な課題の抽出について着手していると説明した。また、株価がアナリストの目標値よりも水準を下回っていることに「続いた不祥事が(株価が)上がっていかない要因の一つ」で、経営の責任だと言及。その上で「信頼を一日も早く回復できるよう全力で取り組んでいく」と話した。
国際線、20年羽田増枠分は秋ごろ発表
成田を重視、ZIPAIRの展開に期待
赤坂社長は今後の国際線・国内線ネットワーク展開について説明した。2020年に増枠を控える羽田空港および成田空港については、羽田空港で配分される国際線路線について今年秋ごろに発表すると説明した。
さらに成田の増枠については、新たにJALが立ち上げた中長距離LCC、ZIPAIRによる新しい客層への訴求力に期待感を示した。就航当初はバンコク線、ソウル線への就航を計画しているが、改めて「早期に太平洋線へ就航する」と説明した。
数ある国際線ネットワークの中でも特にJALが初めて就航したハワイ線を重視する。成田からはホノルルだけではなく、コナ(ハワイ島)へも就航するほか、大阪、名古屋からホノルル線、さらにはハワイアン航空とのコードシェアによるハワイの島々を網羅するバラエティに富んだハワイ線を説明。ライバル全日空(ANA)に負けない魅力のあるネットワークによって、旅客を獲得していくことを強調した。
根強い整理解雇問題、動議に対して苦言も
総会では、株主12名が経営陣へ質問を行ったが、議案に対する動議や、手続的動議が示され、一時騒然となる場面もあった。議案に対する動議は、JALが抱える整理解雇問題にからめたもの。しかし、同問題はすでに最高裁で判決が下っていて、すでに法的には解決。さらに、ZIPAIRをはじめ人員の採用に当たっては、再雇用者もいる状況。しかしながら、いぜん根強い問題として残っている。質問を行った株主の最後の一人は、「一時株主総会は落ち着いたが、また荒れてきた」と述べると、続けて「総会で問うてほしいのは、ナショナルフラッグに戻るための戦略など」だと話し、動議に対して苦言を呈し、総会が終了した。