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2019.06.25

ウイングトラベル

双方向交流促進と次世代経営環境の構築に注力

JATA通常総会を開催、19年度計画など承認

 日本旅行業協会(JATA)は6月24日、東京都千代田区の経団連会館で「第63回定時総会」を開催した。総会では2018年度の事業報告と収支決算、2019年度の事業計画と収支予算、正会員の除名、役員の退任に伴う新役員の選任が審議され、原案通り承認された。

 

 JATA田川会長「両利きの経営が求められる」
 中核事業の進化とイノベーションの両立を

 総会で田川博己会長は、「「IT産業を始めとした異業種の参入でこれまでにない厳しい戦いが起きている」と述べた上で「これからの旅行業は中核事業をさらに進化させていくと同時にイノベーションを起こす成長分野を取り込む『両利きの経営』が求められてくる」と指摘。中核事業においては「従来から話している企画力、あっせん力、添乗力を駆使して、さまざまなデスティネーションに送客していくとともに、新たな旅行者需要を創り出していくことが必要だ。そうした流れの中でツアーグランプリの価値を改めて重要視していきたい」と述べた。

 

 観光庁田端長官「出国者2000万人前倒しを」
 新規デス開拓や地方発着の海外旅行推進

 また、来賓として田端観光庁長官があいさつした。田端長官は今年1〜5月の出国者数がゴールデンウィーク10連休の効果もあり、前年同月比9%増で伸びていると指摘した上で「昨年から5.5%伸ばすことができれば政府目標として掲げる2000万人を実現することができる。是非1年前倒しで達成できるようお願いしたい。そのためには、新たなデスティネーションの開拓や青少年交流の活発化、国際線が増加する地方空港発着の海外旅行商品の拡充などが求められる」とした。

 

 19年度計画「チャレンジ&トライ」に7本柱
 「ハタチの一歩」や調査事業、チャーター実施

 2019年度の事業計画については「チャレンジ&トライ」を柱として、「海外旅行者数2000万人に向けた需要喚起施策の推進と旅行会社の取扱い拡大」「国内旅行市場の活性化に向けた制度改革等」「訪日旅行者数4000万人への施策推進」「経営基盤強化・健全化、変化する経営環境への対応、消費増税への対応」「優秀な人材獲得、人材育成」「安心安全の旅の実現」「ツーリズムEXPOジャパン2019大阪・関西の開催」の計7項目に取り組む。
 海外旅行者数拡大に向けた需要喚起策としては若者の海外体験支援プロジェクト「ハタチの一歩」や政府指定による重点国を中心に調査事業やチャーターの実施など二国間交流を具体化していく。

 

■総会終了後に菅義偉内閣官房長官が来場
 「旅行者受入環境整備に政府として全力で取り組む」

 総会終了後には菅義偉内閣官房長官が来場し、総会参加者にあいさつした。菅官房長官は「訪日外国人4000万人実現する上で、外国人旅行者が楽しむことができ、気持ちよく旅行することができる環境を政府として作り上げていきたい」と述べた上で、新宿御苑の開館時間の延長を実現した点を紹介した。
 また、中部空港がグランドハンドリング能力の問題を理由に中国からの週50便の受入を断っていたことを中部の産業界から聞いたことを受け「全国で調べてみたら150便の受入を断っていたことがわかった。この件については大変申し訳なく思っており、航空局に厳しく指摘をしておいた。今後はこうした障害を取り除くために国を挙げて取り組んで行くので、旅行会社のみなさまにも環境整備に向けて協力してもらいたい」と語った。

 

 懇親会で田川会長「双方向6000万人めざす」
 ツーリズムEXPO大阪・関西、地方発展の一歩

 通常総会後の懇親会には、JATA会員各社、旅行業界関係者、43カ国の駐日大使、83カ国の大使館・政府観光局関係者、さらには多くの国会議員が出席した。
 田川JATA会長は、「今年はラグビーW杯、来年は東京オリンピック・パラリンピック、そして2025年の大阪・関西万博と続き、ここに至る数年で6000万人を超える相互交流をめざす」と力強く述べた。
 「今年、JATAはラグビーW杯年にちなんで、「チャンレジ&トライ」をスローガンに掲げている。最大のチャレンジはツーリズムEXPOジャパン大阪・関西の開催。観光の効果を地方に発展させる大きな一歩にしたい。交流の輪を日本の隅々に、世界と力を合わせて輪を広げていきたい」と述べ、ツーリズムEXPOジャパン大阪・関西の重要性を強調した。

 

 エストニア大使、日本の双方交流を高く評価
 需要なパートナーJATAの成功が我々の成功

 「60年を越えるJATAの旅行業のプロフェショナルとしてのたゆまぬ努力がなければ、今日の姿は違ったものになっていた。外交関係者は観光促進の分野で、JATAは重要なパートナーで、JATAの成功は我々の成功でもある」と述べた。

 

 久保日観振理事長「観光の課題に挑戦を」

 乾杯の挨拶は、日本観光振興協会の久保成人理事長が務めた。久保理事長は「旅行業、観光産業を取り巻く環境は大きな変化を遂げている。生産性の向上、進化するテクノロジーへの取り組み、ユニバーサル・デザインへの対応、地方創生への参画、環境重視、自然との共生など多くの課題がある。JATAメンバーの皆様はそれを解決する力がある。新しい観光の道を開いて、これらの課題に挑戦してほしい」と述べ、参加者全員で乾杯した。

 

 石井国土交通大臣「安心安全の旅提供を」
 若者の海外旅行促進、安全確保システム運用

 一方で、「海外旅行者数は昨年1895万人の過去最高を記録。若者のアウトバウンド推進、海外旅行者の安全確保システムの運用などにより、2020年2000万人の目標を1年前倒しして本年中の達成をめざす」と海外旅行について言及した。旅行会社が観光振興に果たす役割は極めて大きく、引き続き、旅行者への安心安全な旅の提供に尽力をお願いしたい」と要望した。

 

 二階自民党幹事長「観光発展で未来開ける」
 観光立国推進へ旅行業界に力強い支援求める

 二階俊博自民党幹事長、全国旅行業協会(ANTA)会長は、「観光が発展すれば、必ず明るい未来が開ける。旅行・観光産業の発展のために、田川会長のリーダーシップのもとで、JATAが順調に発展し、東京オリンピック・パラリンピックに向けて観光がさらに大きくなることを期待する」と述べた。

 

※写真=総会であいさつするJATAの田川博己会長

 

※写真=JATA総会の模様

 

写真=来賓あいさつを行った観光庁の田端浩長官

 

※写真=JATA総会終了後にあいさつした菅義偉内閣官房長官

 

※写真=懇親会であいさつするヴィイノ・レイナルト・エストニア駐日大使

 

※写真=乾杯の発声をする日本観光振興協会の久保成人理事長

 

※写真=懇親会であいさつする石井啓一国土交通大臣

 

※写真=懇親会であいさつする二階俊博全国旅行業協会会長・自民党幹事長