記事検索はこちらで→
2019.06.26

WING

防衛省行政事業レビュー、3事業の見直しの様子を公開

PFI事業を除き、防衛省の取組みを概ね評価

 防衛省は6月21日、「平成31年度行政事業レビュー」において、3点の行政事業について公開プロセスを省内で行った。これは、防衛省一部の事業について公開の場で外部の有識者が必要性、有効性、効率性の観点から事業見直しの方向性や見直しの内容を提示するという取り組みで、今回は航空自衛隊の装備する「基地防空用SAM」の調達に関する事業、「民間海上輸送力活用に係わるPFI事業」、「騒音防止事業(一般防音)」の事業見直しの様子が公開した。

 

基地防空用SAMは車体部の入札低調が課題
実弾の演習弾化事業は高評価される

 

 基地防空用SAMの事業レビューでは、コスト削減のために防衛省が行っている、陸上自衛隊11式短SAMとの共同調達や空自単体での一括調達などの検討事項と定期修理までの間隔の延伸に関する取組み事項について審議した。
 基地防空用SAMは、陸自11式短SAMと一部が共通となっており、車体部が陸自では「3 1/2tトラック」に、空自では「高機動車」となっているのが主な違いだ。
 防衛省はコスト削減のため、調達に置いても、陸自と取得時期や数量等の情報を共有して陸空双方にスケールメリットを得られるようにしているほか、車体部は基地防空用SAMを製造している東芝インフラシステムズを通じて取得せず、一般競争入札で官側が取得し、製造工程へ官給している。
 さらに、防衛省側は整備用計測機器も同様に汎用計測機器を官側が調達して、広く参入会社を募るも、この入札に参入企業の入札は低調となっていることを明かした。
 また定期修理までの間隔が妥当か否かの検証を目的に、事前役務調査を行い、定期修理にかかるコストの低減を図る考えも示した。
 これに対し、外部有識者からは、車両部の取得コスト削減のために、サプライヤーを含めたコスト削減の協議を行うことや海外の車両メーカーにも門戸を開くこと、陸自11式短SAMとの一括調達によるコスト削減のより一層の推進等の意見が寄せられた。
 また審議の中で、防衛省は基地防空用SAM(演習弾)の取得に関しては、これまで実弾と演習弾は別々に調達していたが、今後は製造年の古い実弾に演習弾化改修を行い演習弾として射耗し、実弾を補填調達する方式とする予定と明らかにした。
 基地防空用SAMの演習弾は、実弾と一部の部品を除き同一品となっており、これまで実弾は調達後年次が経過したものを有寿命部品を交換する再保証事業を行っていた。今回の調達方法の変更により、演習弾の新規製造が不要になるほか、有寿命部品をの交換所要が減り、将来の再保証事業の価格低減が図れるだけでなく、部隊も信頼性の高い新造の実弾を確保できるとしている。この演習弾化事業に関しては各委員も賛同しており、陸自との情報共有すること等によるコスト削減に取り組むことが求められた。
 このため、最終的に「基地防空用SAM」の事業は、事業内容の一部改善が求められることとなった。

 

PFI方式採用の妥当性が明確に出来ず
抜本的な見直しが求められる

 一方、次の議題である「民間海上輸送力活用に係わるPFI事業」では、厳しい意見が相次いだ。

 

コスト削減策等まとめた計画・工法集が評価
 最後の議題である「騒音防止事業(一般防音)」は、自衛隊などの航空機の離着陸時に生じる騒音を防止または低減するために地方公共団体等が実施する防音工事に対し、補助金を交付する事業で、学校や病院などといった公共施設を対象として防音サッシの設置や空気調和装置の設置を行っている。