WING
ANA、リモコン式遠隔操作のトーイングカーを実用化
人手不足問題解消でエアサイド業務の省人・効率化進む
全日空(ANA)は7月4日、これまで実証実験を重ねるなど、その導入を検討してきたリモコン式遠隔操作によるトーイングカーを、国内で初めて実用化することに成功した。同日から佐賀空港で、その運用をスタートした。なお、この遠隔操作式のトーイングカーは、ドイツのモトトック社製の「Spacer8600」。
ANAは昨年10月から実証実験を開始。モトトック社製の「SPACER8600 MA」はバッテリー駆動で最高速度は時速6km。その最大牽引能力は95トンで、ボーイングの737-500/700/800型機のほか、エアバスのA320/321に対応する。
ANAによれば、フル充電3時間で30回のプッシュバック業務を実施することが可能。すでにブリティッシュ・エアウェイズがロンドン・ヒースロー空港のターミナル5において、約30台弱の同機器を運用中とのこと。ANAはこうした事例を調査して、実証実験に踏み切っていた。
通常、航空機のハンガーイン・アウト作業はグランドハンドリングの作業の範疇。ただ、実証実験では整備士が行っており、わずかな訓練期間で、誰でも高いスキルを求められる航空機の移動・牽引作業を行うことができるようになることも明らかになっていた。
ANAでは様々な新しいテクノロジーを活用したイノベーションを続々と進めている。空港や機内では旅客の体験価値向上に向けた様々なテクノロジーが活用されている。一方、こうしたイノベーションはエアサイド、つまり仕事への適用も急速に進んでいるところ。
※写真=インストラクターの指導の下、モトトック製機器で整備士が航空機を移動・牽引。写真は昨年羽田空港で実施した実証実験時に撮影
※写真=新型機器が航空機をがっちりと掴む。写真は昨年羽田空港で実施した実証実験時に撮影
※写真=リモートコントローラーで航空機を簡単に移動・牽引することができる。写真は昨年羽田空港で実施した実証実験時に撮影
※写真=現行のトーイングトラクターから新しい機器へと入れ替わる日も近いか。写真は昨年羽田空港で実施した実証実験時に撮影