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ボーイング取締役会初の米国籍外メンバーの双肩にかかる期待
アーサー社長「多様性とグローバル化推進を」、日本もR&D能力大増強
今年4月にボーイング・インターナショナル社長に就任したばかりのマイケル・アーサー社長が取材に応じ、「100年に及ぶ弊社の歴史のなかで、米国籍外の私がエグゼクティブ・カウンシルのメンバーとなったことは大変名誉なことであり、光栄なこと」と話す。その上で、「同時に私の肩には大きな責任がのしかかっている」とも話した。
世界を股にかけて活躍してきたアーサー社長の国籍は英国籍。グローバル企業のボーイングにとって、やや意外に感じるかもしれないが、実はボーイングのエグゼクティブ・カウンシルのメンバーに米国籍以外のメンバーが加わったことは、ボーイングの歴史上、初めてのことだ。
足下をみれば最大のライバルであるエアバスと繰り広げる受注競争はもちろん、サプライチェーンを構築する上でも、日本を含めた米国外から巨額の調達を行っているボーイング。それだけに英国籍のアーサー社長という米国籍以外の新たな「血」をエグゼクティブ・カウンシルに加えたことの意味は大きい。
アーサー社長の経歴を紐解けば、現職に就任する以前には、ボーイング・ヨーロッパ社長やボーイング・英国およびアイルランドのマネージング・ディレクターを担い、2014年にボーイングに入社する以前には英国外務・英連邦省に30年間勤めた。2003年~2007年まで駐インド英国大使を務め、2007年~2010年にはドイツで同じく英国大使として活躍。そのほかにも、外交官としてニューヨーク、ブリュッセル、パリ、ボン、ワシントンD.Cなどでも勤務した経験を有する。
アーサー社長は「私がボーイング・インターナショナル社長に就任した人事は、会長および取締役会の意図的な決断ということになるだろう。つまり、ボーイングはグローバルカンパニーであるという、その意思表示の一環だ」とコメント。その上で、「私の願いの一つは、グローバライゼーションと多様性を推進すること」だとし、とくに「個人的に多様性には、大きな力を注いでいきたい。異なった考えの人々が集まれば、より大きな創造力を生み出すことになるだろう。これが我々の進むべき方向性」であることを強調した。
アーサー社長が推進する「多様性」と「グローバライゼーション」は、ボーイング・ジャパンにも着実に波及しつつある。アーサー社長は「日本におけるR&D機能を高めることに注力している」ことを明かした。
ボーイング・ジャパンについては、「ボーイングのなかでもジェンダーバランスが上手く取れている」ことに触れながら、ボーイングがさらに「多様性」と「グローバライゼーション」を推進していくために、日本におけるR&D機能を強化することに言及した。
具体的にはボーイング・ジャパンにおいて、それまで機能がなかったR&D担当者を昨年秋頃に1名配置し、今年6月末現在で既に5名体制まで拡大したとのこと。今後数年以内にさらに体制を充実強化する方針で、強力なR&D組織を構築することで日本市場から優れた技術の取り込みを図る。
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※写真=ボーイング史上、初めて米国籍以外のエグゼクティブカウンシルメンバーに加わったボーイング・インターナショナルのマイケル・アーサー社長
※写真=英国籍のアーサー社長はボーイングの多様性、グローバル化を更に推進していくことを掲げている。その一環でボーイング・ジャパンのR&D機能を強化する