WING
高まる太平洋方面への防空・警戒体制の強化の必要性
航空自衛隊の「真価を発揮」し、新しい脅威に対応する
中部航空方面隊は、東北地方南部から関東、北陸、中国・四国地方東部(1都2府25県)までの防空を主要な任務としており、航空自衛隊の4個航空方面隊の中で最も広い区域を担当している。我が国の防衛戦略が冷戦期の北方重視から近年の南西重視へと移り変わる中でも、中部航空方面隊は変わることなく防空、警戒監視を24時間365日、怠ることなく続けてきたところだ。しかしながら、中国が軍事戦略上の概念として「第一列島線」、「第二列島線」を重視し、中国海軍の近代化や空母の実用化と併せて太平洋方面への進出が多くなりつつある中、中部航空方面隊が管轄する太平洋方面への防空・警戒体制の強化の必要性が高まりつつある。今回、「WING」は中部航空方面隊司令官の引田淳空将にインタビューを実施し、中部航空方面隊として昨今の航空防衛力整備に必要となる事項等について語ってもらった。
引田司令官は、昨年に大綱・中期防が策定されて自衛隊も多次元統合防衛力を構築するという局面に立っていること、航空自衛隊もそれを受けて新しい機能―宇宙・サイバー・電磁波―を構築し、運用していく局面に直面している状況だとした上で、中部航空方面隊司令官としての指導方針を「真価の発揮」だと述べた。周辺国の活動を見ても引き続き活発であり、活動空域も徐々にではあるが確実に広がっている。そうした状況に対応するためには、航空自衛隊をさらに「深化」且つ「進化」をしないとこれからは対応できないとして、「航空自衛隊の優れた能力である即応性や先進性、柔軟性等を遺憾なく発揮して、将来の組織を変えていき、新しい脅威に対応していこうという意味を込めて『真価の発揮』をモットーとして掲げている」と語った。
進む中国軍の太平洋進出に対し
防空能力の機能強化、運用能力を高め対応
巡航ミサイルや無人機など
進む周辺国のステルス機配備
人手不足、少子化で難しい人材募集
※写真=インタビューに応じた中部航空方面隊司令官の引田淳空将
※写真=中国の太平洋方面への進出が本格的になりつつある。6月10日には空母「遼寧」を含む艦艇群が、沖-宮間を南下し、太平洋へ向けて航行している(提供:統合幕僚監部)