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2018.05.17

WING

福岡空港の運営権、福岡エアポートHDグループに

地元連合が2次審査トップ、来年4月に完全民営化へ

 国土交通省は5月16日、民営化を進める福岡空港の優先交渉権者として、3グループの中から「福岡エアポートHDグループ」を選定した。同グループは、構成員に西日本鉄道や九州電力などが参加する地元連合。シンガポールの空港運営会社、Changi Airports International Pte. Ltd.を抱える。今後、6月に基本協定を締結する予定で、8月には運営権設定・実施契約締結、11月にはビル施設などの事業を開始するとして、来年4月には完全な空港運営事業を開始する計画となっている。なお、福岡エアポートHDグループと基本協定および実施契約の締結に至らなかった場合、次点交渉権者として東京建物が代表となる「Pride of 九州コンソーシアム」を選定した。
 国管理空港の民営化は、仙台、高松に続き、福岡空港で3件目。以降、熊本、北海道、広島と続く。その中でも福岡空港は、事業規模の比較的大きな空港といえる。福岡空港の民営化に向けた実施方針は、事業期間を30年間、不可抗力などによる延長含め最長35年間に定める。国への一時金として200億円と、年間47億円を上回る運営権対価を支払うため、運営権の価格は1610億円以上となる。
 また実施方針では、関係する地方公共団体と連携して空港の利用促進などに取り組むため、運営権者に対して地方公共団体が10%以下を出資。非常勤取締役1名を派遣する。さらに、航空運送事業者などの出資を規制する。運営権者は、航空運送事業者の関連会社となってはならない。そのため、優先交渉権者の代表の福岡エアポートHDでは、ANAホールディングスや日本航空の株式保有率を下げるなど、資本構成の調整を行っている。

 

 1位は169.7点獲得、2位151.8点、価格重視の配点

 このたび、優先交渉権者選定の2次審査に参加した3グループのうち、福岡エアポートHDグループが獲得得点169.7点の1位となって優先交渉権者となった。次点交渉権者のPride of 九州コンソーシアムは、東京建物がManchester Airport Holdings Limitedと組んで、151.8点を獲得した。3位となった「大和ハウス・マッコーリーコンソーシアム」は、大和ハウス工業を代表として、Macquarie Corporate Holding Pty Limitedとのグループで、こちらは149点だった。
 この二次審査では、200点満点中60点が運営権対価として配点され、”価格重視”の姿勢が強調された。審査の内容は、一次審査の後に行われる国との競争的対話を経た上で、事業に関する具体的な目標および計画、個別施策の適切さ、実現可能性など。
 配点は、全体事業方針7点、空港活性化に関する計画57点で、そのうち将来像、着陸料など料金提案、エアライン誘致案、そのほかの航空ネットワークの将来像実現に寄与する提案24点、目標とする航空サービス利用者の利便性向上水準、航空サービス利用者利便性向上提案、空港用地外の事業者との連携提案が21点、目標とする航空サービス利用者以外の空港利用者利便性向上と利便性向上提案が6点、福岡空港の将来構想実現に係る協力方針が6点とした。
 また設備投資計画の配点は、空港機能維持を目的とした投資と設備投資案9点、空港活性化を目的とした設備投資の総額および提案15点だった。
 さらに、安全・保安に関する計画12点、地域との共生計画に関する計画10点、そして事業計画と事業継続および事業実施体制30点とした。
 事業計画と事業継続および実施体制のうち、事業計画および事業継続に関する提案では16点、事業実施体制14点とした。
 このたびの2次審査での獲得点数については、審査講評、優先交渉権者の提案概要と併せて、基本協定の締結後に公表するとしている。

 

※写真=福岡空港の運営権者として、地元連合の福岡エアポートHDグループが選ばれた(提供:福岡空港事務所)