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2019.07.29

WING

関空、中水・処理水の利用で不適切行為

施設構造上の欠陥や申請用途外利用が問題に

 関西エアポートは7月26日、関西国際空港内の浄化センターで中水、処理水の申請外放流等の不適切行為が行われていたと発表した。また、この件に関して、7月5日付大阪府より警告書による行政指導を受けたことも併せて発表している。
 なお、今回の不適切行為による環境への影響については、有識者によるシミュレーション評価を実施した結果から、影響はないとしている。
 この浄化センターは、関空内で発生するし尿等の汚水を処理するための排水処理施設で、関西エアポート子会社の関西エアポートテクニカルサービスが委託を受けて運営している。関空では、浄化センターで処理した中水を空港内のトイレ用水や飲用に適さない上水(水道水)代替水として活用するほか、周辺海域に放流できる状態の水を処理水として放流するとして申請してきた。
 関西エアポートは問題となった不適切行為として、1.自主水質管理基準を超える中水の放流と処理水および中水の地下浸透行為、2.放流の許可を受けていない雨水専用排出口からの処理水、中水の放流行為、3.中水の申請外使用、4.前述行為に伴う汚濁負荷量の測定の不履行、の4点を挙げており、今回の不適切行為は関西エアポートおよび大阪府への電子メールによる内部告発により判明したと述べる。
 今回の不適切行為の焦点は、浄化センター前の修景池に繁藻対策として恒常的に中水を給水してきたが、溢れ出たした中水が雨水専用排出口から海域へ放流する構造となっていた施設構造上の欠陥と、植栽散水や工事用水等の使用は許可申請していなかったことによる申請上の問題だ。
 関西エアポートは今回の不適切行為の問題点として、自社および委託先で規定や許認可の内容・趣旨、施設の敷設状況に関して十分な認識とその共有がなされていなかった点、浄化センター委託業務の管理体制が不十分で、異常発生時の指揮命令系統が不明確だった点、運用や対応記録も適切に保持できていなかった点や、施設の設計・施行面で、法令違反を誘起しやすい点を挙げている。
 再発防止策としては、管理体制を見直し、マニュアルを改訂して教育訓練を充実するほか、門んだいとなった設備構造を使用停止して改修する。さらに、許可申請内容を見直し、再申請するとのことだ。

 

※写真=問題となった浄化センター(関西エアポートホームページより引用)