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東京理科大、デモモジュールで宇宙の「衣・食・住」技術実証
清水建設・JAXAと共同研究、秋口にも第1弾研究開始
東京理科大学野田キャンパス(千葉県野田市)に、清水建設、宇宙航空研究開発機構(JAXA)らが共同で、宇宙居住に関する様々な実験を行うプラットフォーム「スペースコロニーデモンストレーションモジュール」を設置した。7月30日に、デモモジュールのオープニングセレモニーを挙行すると共に、モジュールを報道陣に公開した。東京理科大学によれば、早ければ今秋口にもまずは匂い除去技術に関する実証実験をスタートする。さらには東京理科大学が得意とする光触媒技術などを活用した水・空気の浄化や植物生産、エネルギー生成・蓄電技術などの実証実験を進めていく計画だ。
東京理科大学によれば、設置したデモンストレーションモジュールは、宇宙居住に関する「衣・食・住」、つまり環境維持技術やエネルギー生成・蓄積技術など、様々な要素技術を実験・実証するプラットフォームとして活用する。これにより宇宙居住に関する技術の研究開発を加速することに加えて、その技術を様々な地球上の課題解決に応用することができるようにすることが狙いだ。
元JAXA宇宙飛行士で、東京理科大学副学長兼スペース・コロニー研究センターの向井千秋センター長は、「衣食住に関しては、日本が取り組めば(欧米や中国などに)勝てる分野ではないか」との認識を示しつつ、「これまでなかなかロケットや衛星などでは参入しにくかった企業の人たち、あるいは宇宙学部がなければ参加できなかった大学など、(衣食住分野ならば)いくらでも参入することができる」とコメント。「敷居を下げて皆で取り組むことにより、宇宙のマーケットが広がる。アカデミアと産業界から追い風を吹かすことができれば」と話し、多産業から宇宙という新たなフロンティアに参入することに期待を寄せ、産学連携で宇宙市場に新たな風を吹き込む考えを示した。
デモモジュールは「未来に通じる宇宙船」
エアロック付きのインフレータブル構造
※写真=「スペースコロニーデモンストレーションモジュール」の内部。現在は実験装置は設置されていないが順次導入する
※写真=手前がエアロックの役割を持つ前室。後ろが本体部に
※写真=インフレータブル構造のモジュールはおよそ1分ほどで膨らむ